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(2021/11/26 追記)

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[新釈]養生訓
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くらし
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巻第四

『[新釈]養生訓』
[著]貝原益軒 [編訳]蓮村誠 [発行]PHP研究所


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飲食下

倹約と養生のために


 東坡(とうば)(※1)がいうには、「早晩の飲食、一爵一肉(※2)に過ぎず。尊客あれば、これを三にす。減らすべくして、増すべからず。我を呼ぶ者あれば、是を以てつぐ。一に(いわ)く、分を案じて以て福を養う。二に曰く、胃を(ひろ)くして以て気を養う。三に曰く、(つい)えをはぶきて以て財を養う」と。東坡のこの方法は、倹約と養生の両方にとってそのようにするのがよいです。

 ※1 中国・北宋代の政治家、詩人

 ※2 一杯の酒、一片の肉


 益軒は、まずはじめに、養生にとって大切なことは、補うことではなくて、ひかえることであると述べます。それによって、消化器官を守り、気を養うことができるからです。こうすることで、倹約にもなるといっています。

副食の数


 朝食と夕食の副食は、一品にするべきです。その上で、(ひしお)(※1)か、(ししびしお)(※2)、あるいは漬け物を一品加えてもよいです。吸い物は、金持ちでもいつもただ一種類にします。客をもてなすために二つ用いるのは、本汁がもし気に入らなかったときに、二の汁を用いるためです。いつもは無用なものです。唐の高侍郎(こうじろう)(※3)という人は、その兄弟ともども吸い物と肉を二品使わずに、朝夕一品だけ用いました。夕食にはただ蔔匏(ほくほう)を食べます。蔔匏とは、大根とゆうがおのことです。范忠宣(はんちゆうせん)(※4)という高貴な人も、ふだんは副食に肉が重ならないようにしました。その倹約と養生の二つとも手本にするべきです。

 ※1 大豆と小麦で作ったに食塩水を混ぜて造る味噌に似た食品で、なめ味噌にする

 ※2 魚や鳥の肉で作った塩漬け

 ※3 中国・唐の官僚

 ※4 范純仁、中国・北宋代の政治家


 倹約と養生について、より具体的に述べています。おかず(副食)を減らし、一品とすることや、汁物を一つにすることを説いています。肉も、汁物やおかずに重ならないようにします。これらは、倹約になるだけではなく、消化という観点からも胃腸に負担をかけません。栄養を多く与えることが養生ではなく、このように消化器官に負担をかけない食事をすることが、養生にとって大切なのです。

餅と団子


 餅や団子の新しく作ったものを、もう一度煮たり、(あぶ)らないでそのまま食べるのは消化によくありません。蒸したものよりも、煮たものが、やわらかくて消化しやすいです。餅は数日経ってから焼いたり煮たりして食べるのがよいのです。


 できたての餅はやわらかいので、そのまま食べることが多いですが、餅はほんらいとても消化しにくいものですから、きちんと煮たり、炙ってから食べるべきです。調理法としては、蒸すよりも煮るほうがやわらかくなるので、煮るほうがよいのです。また、数日経ってかたくなったものでも、煮てやわらかくして食べると消化がよくなります。

朝食と夕食の関係


 朝食が脂っこくしつこいものであったら、夕食は淡泊なものにするのがよいのです。夕食の量が多かったら、翌朝の食事はかるくするべきです。


 重くて消化しにくい食事をしたら、そのつぎの食事はかるくて消化しやすいものにするべきだと説いています。これによって胃腸を休ませ、消化力を弱めないようにします。こうしたバランスをとることによって、元気をそこなわないようにするべきなのです。

新しいものを食べる


 さまざまな食べものは、陽気の性質をもつ、新しいものを食べるべきです。それらは毒がありません。日が経って、陰気が鬱滞(うつたい)したものを食べてはいけません。害があります。煮すぎて煮えたての味を失ったものも同じです。


 陽気とは、純粋で温かい質をもつものです。そのような質をもつものは、消化によく、元気を養います。しかし、不純で冷たい質をもつ陰気のものは、食べても消化しにくく、消化力を弱め、気が鬱滞するので害があり、病気の原因になります。

 アーユルヴェーダでは、陽気の多い食事とは、サットヴァ(純粋性)が高いものを指し、陰気の多い食事とは、ラジャス(活動性)やタマス(不活発性)が高いものを指します。

陽気のものを食べる


 一切の食べもので陰気の鬱滞したものには毒があります。食べてはいけません。『論語』の郷党篇に書いてある、聖人が召し上がらなかったものは、みな陽気を失って陰物となったものです。穀物や肉など、(ふた)をして時が経つと、陰鬱の気によって味が変わります。魚や鳥の肉など、長くおいたもの、また塩に漬けて時間が経ったものは、色、臭い、味が変わります。これはみな陽気を失ったのです。野菜など時間が経ったものは、生気を失って味が変わります。これはみな陰物です。腸胃に害があります。また、害はなくても養いを補いません。水など新たに()んだものは陽気がさかんで、生気があります。時間が経ってしまうと、陰物となり、生気を失います。一切の飲食物は、生気を失い、味と臭いと色が少しでも変わったものは食べてはいけません。干して色が変わったものと、塩に漬けて損じないようにしたものは、陰物ではなく、食べても害はありません。しかし、乾物の気の抜けたものと、長く塩に漬けて、色、臭い、味が変わったものはみな陰物です。食べてはいけません。


 益軒は、どのような食事が陽気をもち、純粋で元気を養うものであるかを明確にします。また、どのような食事が陰物で、不純で元気をそこなうものであるかも明らかにします。陽気をもつものとは、新鮮で風味がよく、色や香りがいいもの。これらは消化によく、元気を養います。陰物とは、新鮮さを失い、色や香りが悪く、また塩などに長く漬けたものなど。これらはとても消化に悪く、元気をそこないます。

陰物のものは食べない


 夏の暑いときに、長く蓋をして、熱気で蒸されて、鬱になり、味が悪くなったものを食べてはいけません。冬に霜にうたれた菜、また軒下に生えた菜も、みな食べてはいけません。これはみな陰物です。


 さらに陰物について詳細に説きます。ここでは夏と冬という季節の影響を述べています。夏の暑さや、冬の寒さの影響を強く受けたものは、いずれも陰物となります。



 瓜は、風の涼しい日、及び秋の涼しい日に、食べてはいけません。ごく暑いときだけ食べるべきです。


 瓜には、からだを冷やす質があります。風が吹く涼しい日などには、とくに食べないようにといっています。

炙ったもの


 炙り餅、炙り肉は、すでに炙ったものを、また熱湯に少し浸し、火毒をとってから食べるべきです。そうでないと、唾液を乾かしてしまいます。また、よく喉の病気になってしまいます。


 火毒とは、からだを燃やす熱の質が悪化した状態です。アーユルヴェーダでは、自然界にある火のエネルギーを「ピッタ」と呼び、食べものを火で炙ることで、そのピッタが乱れ、それを食べることで、喉が渇き、喉の病気になりやすくなります。ですから、湯につけるなどして、ピッタを和らげてから食べるようにと述べています。

茄子の調理

本草(ほんぞう)(※)』などの本では、茄子(なす)は性が好ましくないといっています。生のものは毒があり、食べてはいけません。煮たものも、熱を伴う下痢、高熱を伴う病気などには、非常によくありません。他の病気には、皮をのぞいて切ってから米のとぎ汁に浸し、一晩か半日経ってから、やわらかく煮てから食べれば害がありません。葛粉は水でこねて、切って線状にしたものを水で煮、味噌汁に鰹節を加えて、もう一度煮て食べます。下痢を止め、胃を補います。保養に益があります。

 ※中国では薬物に関する学問を本草と呼び、現存する最古の本草書は、『神農本草』で後漢期ごろの著とされる
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