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若者の「心の病」がわかる本
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くらし
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第6章 「いじめ」と「遊び」の区別がなくなった

『若者の「心の病」がわかる本』
[著]町沢静夫 [発行]PHP研究所


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見えにくくなる「いじめ」の形態


 大河内君のいじめ自殺事件、また、さかのぼれば鹿川君の「葬式ごっこ」自殺事件に続いて、相変わらずいじめによる自殺があとを絶たない。いじめの問題の中心は主に中学校となっている。

 総務庁の一九九四年の発表によれば、小、中、高校ともに、いじめは一九六〇年に比べてはるかに減少し、今なお減少する傾向がみられる。それでも、一九九三年に日本全体で約二万一〇〇〇件のいじめがあったと文部省は発表している。平成十(一九九八)年度は小学生で一万七二二三人、中学生二万八八六四人、高校生四〇四〇人である。これらの総計は約五万人と増加している。

 一九九三年に総務庁やNHKなどの調査機関によるデータをみると「一年間にいじめをしたことがある」と答えた者は五〜一〇%であり、「いじめを受けたことがある」は一〇〜四〇%、さらに「校内でいじめを目撃したことがある」と答えた者は六〇%となっている。

 青年期の心の病理や犯罪心理学の研究者・福島章はこのことから、年間に数百万件のいじめが起こっていると考えざるを得ないと述べている。したがっていじめが減少しているというのは、そのまま信じるわけにはいかない。むしろいじめが、教師からますます見えにくくなりつつあることを示しているのであろう。

 子供の立場からすると、「いじめは悪いことである」という倫理観は、残念なことに確立しているものではない。
「いじめはおもしろい」と答える人たちはかなりの数に上っている。埼玉大学のグループが研究したデータでは、「いじめをおもしろがって見ていた」というのは、中学校一、二年生では六・四%となっている。この数字を少ないとみるか、多いとみるか、比較対象がないので即断はできない。しかし少なくとも、倫理的に当然悪いことなのだから、「いじめをおもしろがって見ていた」とする態度が六・四%もいるということは、憂うべき数値だろう。日本では子供の遊びが減少するにつれ、「いじめ」が遊びとして浮かび上がっているようだ。

 少年の非行化においても、かつてのように、ものがないからという貧困型の非行から遊び型の非行に移っている。むしろ中流、あるいはまた上流の家庭で非行少年が多くみられる。非行もいじめも遊びの一つとして見られている傾向があるようだ。

 したがって、鹿川君の「葬式ごっこ」についても、まさに「ごっこ」であって、本当にいじめなのか、遊びなのか区別がつかなくなっている。同様に、大河内君に対するいじめも、個人的なにくしみ、怒りからいじめる、というのではなく、遊びたいからいじめるという背景がうかがえる。

日米「いじめ」比較レポート

「日米中学生・母親調査」において、日本とアメリカのいじめの比較がなされている。日本では、いじめられたことがあるという被害経験は三九・一%、いじめたという加害経験は四七・六%である。一方アメリカでは、いじめられたことがあるというのは五八・一%、いじめたという加害経験は五一・八%で、日本のほうが、ややいじめられるということが少ないことを示しているが、そう大差はない。ほぼ半数が、どちらかの経験をしているものである。

 日本の場合、いじめられた側が学校を嫌いになり、不登校になってしまうケースが多い。しかしアメリカでは、いじめられたからといって、それが不登校に直接つながることはほとんどないと報告している。

 また大きな日米の違いは、日本の場合、「いじめに対してどう思うか」という質問に対して「絶対にしてはいけない」と回答したのは、六四・二%であるが、アメリカでは九四・四%にも達しているということである。つまり日本よりアメリカのほうが、いじめははっきりと「悪い」という認識が確立しているといっていい。この点、日本の子供たちのほうが、いじめに関して曖昧な倫理観を持っているとみなされるものである。

 別の質問において(次の図表3参照)、アメリカでは、いじめに対して止めに入るのは、男四三・六%、女三五・二%である。日本にあっては、止めに入るのは、男二四・九%、女一四・八%となっている。そして「見て見ぬふりをする」というのは、アメリカでは男二〇・〇%、女二一・六%、日本では、男三〇・五%、女二八・九%とこれも顕著に多い。
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