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若者の「心の病」がわかる本
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第11章 思春期病棟のさまざまな人々

『若者の「心の病」がわかる本』
[著]町沢静夫 [発行]PHP研究所


読了目安時間:15分
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精神病診断の難しさ


 思春期の精神障害で、一番恐れるべきは分裂病である。例えば、十五歳、十六歳に発病した分裂病は、なかなか厳しいものであり、治療は困難である。

 分裂病は発病が早ければ早いほど、予後が悪いというのが常識である。しかし思春期は実に可変性に満ちており、いかに大変そうでも、状況が変われば、症状がすっかりなくなるということも特徴である。

 思春期の精神病で予後のよい例を述べよう。

 高校一年生の女生徒が、人が自分の悪口をいっている、家にいても盗聴器がつけられている、テレビで自分のことを噂している、そして自分のことを全国に放送している、といった典型的な分裂病の症状を持っていた。

 しかし、うまく精神科の治療の枠組みの中に入れることによって、薬を飲んでもらい、半年でほとんど症状がなくなった。被害妄想によるいじめの問題、あるいは担任の教師に対する被害妄想、クラスの友人に対する被害妄想は、ことごとく消えてしまい、どうやら卒業が可能になった。

 また、全く同じ症状で分裂病と診断された女生徒も、二年間の内にすっかりよくなり、アメリカの大学に入学し、卒業した例もある。

症例・躁うつ病(双極性障害)


 また躁うつ病(双極性障害)は、今や精神病の中に含められず、感情障害の一つに入れられているものである。これはうつ病と躁病が繰り越される障害である。

 ある男子生徒が躁うつ病と診断されるまでに、一年はかかっていた。非定型的病像なので、診断は困難だった。ある時はうつ病で全く何もできず、試験もやっと名前を書くだけというレベルになった。

 躁状態になると、女友だちを呼び、ゲームセンターに出歩き、夜遅くまで遊び回って、親を心配させた。その場合も、躁うつが典型的にリズムのように来るというのではなく、状況状況に応じて、感情の起伏が来るということが多い。いわゆる大人の躁うつ病(双極性障害)とはいささか異なるものであった。

 彼の場合、親の指導、親の知識、親のケア次第でかなりよくなるものであった。現在、ほとんど躁もうつもみられない状況になっている。

 しかし予後の悪いものも当然あり、またある男子生徒は、高校一年に入って、何も勉強しなくなり、不登校ということで病院に来た。いっていることは全く意味がわからず、滅裂思考が見られた。しかも無口であった。その男子生徒を入院させたところ、ほとんどベッドに寝たきりで、人と話すことや、人と関わることもなかった。看護婦と話すこともほとんどない状態であった。そして抗精神病薬によって多少元気になったものの、話す内容は「僕はあの女の子が好きなんだけど、セックスしていいかな?」などということを平気でいって、看護婦の失笑を買ったものである。

 この患者は、一度は高校に戻ったものの、やはりよい状態を維持できず、自ら病院のほうが暮らしやすいといって、よその慢性精神病棟に入院した。
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