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新渡戸稲造の人間道
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生き方・教養
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第五章 世間を広く渡る心がけ

『新渡戸稲造の人間道』
[著]岬龍一郎 [発行]PHP研究所


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自分にはきびしく、人には優しく


 世間を広く渡るとは、多くの人に愛されて生きるということだと、新渡戸博士はいう。当然のことだが、人間は一人では生きられないので、先輩、友人、仕事仲間を含めて、人脈は多ければ多いほど人生は楽しいし、幅の広い有意義な生き方ができることはいうまでもない。苦しいときや悲しいときは慰められ、励まされ、楽しいときやうれしいときは、その喜びは二倍になる。
多逢聖因(たおうしよういん)」という言葉がある。仏教用語のひとつだが、その意味は、よい縁に交わっていると、知らず知らずのうちによい結果に恵まれるということだ。だからその仲間も友人もよい縁でなければならない。悪い仲間は人生をまちがったほうへと向かわせてしまう。

 だが「類は友を呼ぶ」という(ことわざ)もあるように、その出会いをよい縁とするか悪い縁とするかは、本人の人格にかかっている。自分がくだらない人間ならば当然、くだらない人間が集まってくるし、立派な人間なら立派な人間が集まってくる。

 では、どういう人が「よい縁」を結ぶのであろうか。

 一言でいえば、「愛される人」だ。その中味は明るくて心優しい性格の人である。反対に人に嫌われるような性格とは、陰険で根暗で意地悪な人である。こういう人は人脈どころか、周りとの人間関係もうまくいかないだろう。

 新渡戸博士も世間を渡るとき、もっとも大切なこととして「上手な人間関係」をあげているが、その心得として私が肝に銘じている言葉に、
「春風を以て人に接し、秋霜(しゆうそう)を以てみずからを(つつし)む」(『言志後録』三十三条)

 という箴言(しんげん)がある。略して「春風秋霜」という。意訳するなら、春に吹く風のような暖かさをもって人に接し、秋に降る霜のようなきびしさをもってみずからを慎むとなるが、要するに自分にはきびしく人には優しく、ということである。

 もっとイメージを膨らませるなら、「イソップ物語」に出てくる「北風と太陽」の話を思い出してもらえばよい。こんな話だ。

 あるとき、北風と太陽が通りかかる旅人を見て、どちらが先に旅人の着ているコートを脱がせることができるかと勝負をした。北風はあらんかぎりの力を込めて強風を吹きかけ、コートを脱がせようとしたが、旅人はかえって(えり)を押さえ、脱がせることができなかった。それに対して太陽は暖かな日差しをどんどん与えたので、旅人は暑さのあまりにコートを脱いでしまったという話である。

 これは人に接するとき、きびしくしすぎると、かえって反発を招いて胸襟(きようきん)を開かせることはできないが、太陽のように暖かく優しく接すれば、人の心も打ち解け、心を開いてくれるというたとえ話である。

 人と接するときは、まず自分のほうから心をオープンにして、相手の心をなごませ、なんでも話し合える関係になるということである。そのとき大切なことは、決して高飛車に出ないで、つねに相手と同じ立場に立つこと、そしてその秘訣は「明るく、優しく、正直である」ということだ。周りを見てもわかるように、こういう人は必ず多くの仲間や友人に恵まれているはずだ。

 逆に、心をふさぎ、人を疑ってかかるような人、意地悪な人、ウソをつく人は、当然のことながら友だちなどできはしないだろう。「根暗」「意地悪」「嘘つき」は嫌われる人の三要素といってよい。

人を好き嫌いで判断するな


 ところが、人との交際において、自分の感情のおもむくまま、相手を好き嫌いで判断してしまう人がいる、と新渡戸博士はいう。これは子どもと同じで、その人のよさを理解する前に、第一印象のみで決めてしまうことになり、自分のほうから人脈を狭くしているようなものだ、と。

 たしかに、友人関係ならまだ好き嫌いの感情で友だちを選ぶことはあってもいいが、先輩や上司などにおいては、第二章の「外柔内剛」で述べたように、恐い顔をした人がほんとうは優しかったり、優しい顔をした人がじつは性格が悪かったり、ということはよくあることだ。
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