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これが仏教
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生き方・教養
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「いま・ここ」を捨てて、幸せをつかむことはできない

『これが仏教』
[著]ひろさちや [発行]PHP研究所


読了目安時間:8分
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「いま・ここ」を生きる


 ハンガリーに、こんな笑い話があるらしい。

 昔むかし、数人の貴族が山登りをした。ところが、案の定、彼らは道に迷ってしまった。

 なかに一人、用意がよくて地図を持参して来た。早速、彼は地図をとりだして、熱心に調べる。

 やがて、遠くの山を指で差しながら、彼は皆に言った──。
「諸君 わかったゾ この地図によると、われわれはいま、あの山の上にいる

 と。

 じつは、ヨーロッパ人のあいだでは、ハンガリーの貴族たちは「馬鹿」の代名詞とされている。だから、ヨーロッパ人はこの話を聞くと、大笑いをするのである。

 だが、わたしは酒席でこの話をした。皆が笑ってくれたが、そのあと、一人の女性がこんなことを言いだした。
「そうよね、あの山じゃなかったのよね。実際は、もっと別の山にいたのでしょう……」

 わたしは彼女に、どう説明すればよいのか、困ってしまった。

 われわれがいる場所は、いつだって「ここ」である。いくら地図の上であっても、わたしたちのいる場所が「あの山」になったり、「別の山」になったりするわけがない。そんなあたりまえのことがわかっていない人がいるなんて、わたしには驚きであった。

 だが──。

 果たしてわたしたちは、簡単に彼女のことを笑っていられるかどうか、しばらく考えてみて、わたしは不安になった。わたしたちだって結構、彼女と同じことをやっているのではなかろうか……。
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