ユダヤ教の安息日
ユダヤ教には「安息日」がある。
われわれ日本人の「日曜日」は休息の日である。いや、日曜日に休息する人は少ない。たいていの人は、日曜日にはゴルフをしたり、映画を見に行ったりしている。わたしなどは、ほとんどの日曜日が講演会や原稿執筆の日になっている。
ま、日本人にとって、日曜日はたんに会社が休みの日であるだけであって、休息の日とはいえないようだ。
ところで、ユダヤ人にとっての安息日──土曜日がそうであるが──は、日本人の日曜日とは根本的に違う。ユダヤ教徒にとっての安息日は、簡単にいえば、
──聖なる日、神に捧げられた日──
であって、人間が俗世間の仕事をしてはいけない日である。俗世間の仕事というのは、会社や現場で働くことはもちろん、映画を見るのも仕事になる。マッチをするのだって仕事である。だから、火を使って料理をつくるのも仕事であるし、野菜を切り刻んでサラダをつくるのも仕事である。そのような俗世間の仕事がいっさい禁じられているのが、ユダヤ教の安息日だ。
おもしろいのは、トイレに入って用をたして、紙で尻を拭くのは許されている(仕事でないとされている)が、トイレット・ペーパーを引っぱり出して、紙をちぎるという行為は仕事とされる。したがって、家庭の主婦は、安息日のはじまる前にトイレット・ペーパーをちぎって積み上げておく。
安息日に読書をするのはよい。