地球が誕生したのは今から46億年前のこと。その時点から現代までを12時間のタイムテーブルで表わした人がいる。
それによると、人類の誕生はラスト30秒前、定住農耕を開始して以降、いわゆる文明の時代は10分の1秒にすぎないという。地球レベルでみた場合、人類の繁栄はほんの束の間の出来事ということである。
本書があつかうのは地球の歴史のほんの一瞬にすぎず、対象も人類というただ一種の生物に限られる。それでいながらタイトルに「世界史」と銘打つのはひどくおこがましくも思えるが、そこは人類の幼稚さゆえのわがままということで納得いただきたい。
世の中に「世界史」と名のつく書籍は大量に出まわっているが、その多くが専門家向けか巻数の多い大型企画、あるいはテーマを絞りすぎているものばかりというのが現状である。一般読者向けの手ごろなものには、なかなかお目にかかれない。
教養としてひととおり世界史の知識を得たいが、長いもの、むずかしいものには腰が引けるという方が少なくないのではなかろうか。本書はそんな方々のお役に立てればという考えから生まれた企画である。
本書は一九九九年に刊行された『目からウロコの世界史』を元本とする。それに加筆訂正をしたうえ、写真や図を大幅に増やし、よりわかりやすく、より楽しめるよう工夫を施したものである。
古代から現代までをあつかっているが、内容は教科書的な通史ではない。
全体を67の項目にわけ、それぞれ誰もが耳にしたことがあるであろうテーマを中心に構成した。理解の一助として各項目に一冊ずつ参考図書を紹介したが、これは一般読者が書店や図書館で手に入れやすく、かつ読みやすいものにかぎった。
本書を通じて、一人でも多くの読者が世界史に関心を向けるようになっていただければ幸いである。
二〇〇六年三月
島崎 晋