『古風の研究』
[著]山崎武也
[発行]PHP研究所
最近は、頭の天辺から足の爪先まで、自分の好きなブランド品で身を固めている人を見ることがある。そのうえに、腕にはめている時計や手に持っているバッグまで、同じブランド品だ。よくも揃えたものだと感心するが、その感嘆の気持ちはその人の財力に対してである。ファッションセンスに関しては、同じブランドの品を集めたというだけなので、逆に芸のなさを感じる。
身につけるものを同色のもので統一する場合も同様である。時間と金さえあれば、誰にでもできる揃え方であって、無味乾燥とまではいわないが、一味乾燥とでもいうほかない。コーディネートとは異なったものを組み合わせて調和を図ることである。