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仏教に学ぶ八十八の智恵
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生き方・教養
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第一章 布施 もらっていただいて、ありがとう

『仏教に学ぶ八十八の智恵』
[著]ひろさちや [発行]PHP研究所


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   布施(ふせ)

    布施とは「施す」ことである。一般には、在家の信者がお坊さんに財物を施すことだと考えられているが、それは「財施」といって、布施の一部である。お坊さん相手の施しでなくても布施であるし、また財物ではなく、他人にやさしい、いたわりのことばをかける行為だって立派な布施である。いちばん注意しなければならないのは、相手に恵んでやるという気持ちがあると、布施ではなくなる点である。そうではなくて、布施させていただくのである。


  7 化粧するこころ

 フェミニストのわたしだから、女性が悪く言われていると、つい弁護したくなる。いや、フェミニストと思っているのは自分だけで、友人たちに言わせると、わたしは恐妻家(あるいは恐女家?)であるらしい。
「女性の化粧だがね……。ごてごてと塗りたくってね、あれは()けるんだよ。女性は化物(ばけもの)だよね」

 友人のなかには、そんな勇ましいことばを吐く(やから)がいる。気の弱いわたしは、困ってしまう。尻馬に乗って女性の悪口を言わぬと仲間はずれにされそうだし、フェミニストだから悪口は言いたくないし……。
「ひろさんよ。仏教では、女性のことをどう見ているの……?」
「仏典にはね、『大小便をつめこんだ女』といった表現があるよ」

 資料の面で嘘をつくことのできないわたしは、文献にあるがままを、正直に答える。
「なるほど、なるほど、そりゃ当たっているよ。内に大小便をつめこんで、外はべたべた塗りたくっているわけだ」
「でもさ、『大小便をつめこんだ』という点では、われわれ男性だって同じだよ」
「しかし、男はなにも、うわべ(ヽヽヽ)だけをやたらと飾ろうとはしない。だから同罪とはいえんのさ」

 そう言われてみると、そんな気がしないでもない。でも、わたしは、やっぱり女性に化粧をしてほしい。たしかに、ごてごてと塗りたくったのは見苦しいが、身嗜(みだしな)みとしての化粧は必要ではないか。いつか通勤の途上、ゴミ捨てに行くスナックのママさんに出会い、髪はぼさぼさ、よれよれの普段着姿にわたしは幻滅し、二度と彼女の店に行く気がしなくなった。

 スナックだから、夜だけ化粧していればよいのだ……。そんな考えが彼女にあったのだろう。しかし、そんな考えでいると、必ず失敗する。ゴミ捨てに行く途中で出会った人、その日、その場だけで彼女に出会った人にとっては、その日の彼女だけしかない。人生には、二度と会えぬ人がいるのだ。茶道では、このことを、

 ――一期一会(いちごいちえ)

 と言っていたはずだ。すばらしいことばだ。これはわたしの大好きなことばである。

 だから……。わたしは、化粧を否定しない。問題は、化粧するこころ(ヽヽヽ)にある。いったい、なんのために、女性は化粧をするのか? そこのところをどう考えるかによって、問題は違ってくる。そしてわたしは、仏教を勉強している人間として、その問題をこう考えている。

 ――それは、布施(ふせ)こころ(ヽヽヽ)でもってすべきものである、と。

 仏教に、“布施”ということばがある。辞書には、「人に物を施し恵むこと」とある。しかし、施すものは、必ずしも財物でなくてよいのである。電車の中で、席を譲ってあげるのも、立派な布施である。やわらいだ笑顔でもって他人に接し、やさしいいたわりのことばを人にかけてあげることだって、すばらしい布施なのだ。女性のお化粧だって、これも立派な布施である。もちろん、ごてごてと白粉(おしろい)を顔に塗りたくったのは、布施の化粧とはいえない。布施というのは、他人に施すものだからである。自分ひとり悦に入っている類の化粧は、人に不快感をあたえる。それでは布施にならないのである。それから、家の中では化粧をせず、しどろな恰好でいて、外出のときだけべたべた化粧をする奥様がいるが、あれはどういう精神なんだろうか。
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