宇宙は永久に膨張し続ける?
近年、人類の宇宙への進出はめざましい。人類が初めて月面に降り立ってからまだ五十年も経っていないというのに、火星、木星にまでロケットが飛んでいき、観測や調査が行なわれている。
どんなに高い山であっても、登りきってしまえば頂上に到達するように、宇宙においてもこのまま開発が進めば、いずれは宇宙の果てまで到達してしまうのだろうか。もしもそうだとしたら、宇宙の果ては、いったいどうなっているのだろうか。
この問いに対して、現在、ふたつの可能性が考えられている。ひとつは宇宙空間は無限で端など存在しないという説。もうひとつは宇宙の大きさは有限だが、どんどん進んでいくともとの位置に戻ってしまう構造になっているという説だ。
まずひとつ目の説だが、このように端のない無限の宇宙は「開いた宇宙」と呼ばれる。開いた宇宙は永久に膨張し続ける。無限の大きさの宇宙が永久に広がり続けるので、果てもなければ、その向こう側の別の世界も存在しないと考えられる。
宇宙の広がりについては、遠く離れた銀河の超新星(太陽の一〇〇億倍もの明るさに輝いているという星)を観測することによって、膨張が加速しているらしいことがわかった。このことから、無限の宇宙は永遠に膨張し続けており、果ては存在しないという主張がされている。
また、同様に宇宙が無限大だとする説を後押しする研究結果が、最近になって発表されている。イタリアや米英などの国際研究チームが、南極上空に巨大気球を飛ばして、宇宙から降り注ぐ電波を観測した結果、加速度的に膨張していることが裏付けられたというのである。
もとの場所に戻る閉じた宇宙とは
いっぽう、どんどん前進していくともとに戻ってしまう宇宙のことを「閉じた宇宙」という。
閉じた宇宙は開いた宇宙と異なり、その大きさは有限である。閉じた宇宙では膨張は永久に続くのではなく、やがて収縮に転じると考えられているからだ。収縮に転じた宇宙の大きさはやがてゼロになる。やがてゼロになるということは有限であると考えられる。
では、大きさは有限だが、進んでいくともとに戻ってきてしまう、そんな宇宙はどうやってイメージすればいいのだろうか。
閉じた宇宙を理解するには、ボールを考えるとわかりやすいだろう。ボールの表面をどんどん進めば、いつの間にかもとの場所に戻ってしまう。
いくら進んでも果てはないが、ボールの大きさは決まっている。これと同様に宇宙空間も有限ではあるものの、果てを越えて別の世界に進むことはできないというわけだ。
これは地球の表面にも似ている。地球の大きさは有限だが、地球の表面に果てはない。
いったいどちらの説が正しいのか。その結論はいまだに出ていない。比較的地球から近い宇宙空間については、望遠鏡をはじめさまざまな手段によって観測し、その姿を特定することができる。
しかし、観測可能な範囲を超えた宇宙については、実験結果などから得た理論から、どんな姿をしているか推測するしかない。