本書は、中国古典『孫子』を、現代日本語の読み物にアレンジしたものです。
原文は、各章が「孫子、曰(孫子が、こう述べた)」で始まり、孫子の言葉の筆記録の体裁で書かれています。そこで本書は、ここからイメージを膨らませ、「現代によみがえった孫子が講演する」という形でのアレンジを、試みました。内容は、もちろん原文の翻訳です。が、筆者なりに、より面白い読み物に仕立てることを目指して、色々と表現に工夫をほどこしています。
各章の末尾では、現代生活に「孫子の兵法」を生かす提案を示しています。この部分は筆者のオリジナルですが、読者の方に共感いただければ、幸いです。
本書は、筆者の「話し言葉で読める古典」シリーズの一冊として位置づけられるものです。どうか読者の方は、こうした点をご了承のうえ、お楽しみ下さい。
平成十九年 春
長尾剛