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孫子が話す 世界一わかりやすい「孫子の兵法」
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生き方・教養
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第七章 軍争

『孫子が話す 世界一わかりやすい「孫子の兵法」』
[著]長尾剛 [発行]PHP研究所


読了目安時間:20分
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速いほうが得でも、ただ急げばいいというものではない


 ようやく折り返し地点まで来たのぉ。このたびのレクチャー全十三章の真ん中、第七章じゃ。

 タイトルは、「軍争(ぐんそう)」となっておる。すぐには、ちょっと意味の(はか)りかねる言葉かの。


 言うまでもなく、戦争とは、軍隊どうしがぶつかり合い、戦い争うもの。では、何故(なぜ)戦うのか。これまた言うまでもない。勝つためじゃ。

 では、なぜ勝ちを求める? もちろん決まっておる。ズバリ、勝った者は“利益”を得られるからじゃ。誰もが、自らの利益を求めて、戦争に参加するのじゃ。

 すなわち「軍争」とは、
「軍が、そして兵士一人ひとりが“利益のために戦っている”のだ」

 という、当たり前すぎるくらい当たり前の真実を表した言葉じゃ。ここでは、その真実を再確認する。そして、その真実から派生する諸々(もろもろ)の現象・出来事について、考えてみる。

 それによって、何が見えてくるか。じつに重要なことが、(わか)ってくるぞ。


 いよいよ戦争が始まる。開戦が決まった。

 ──と、国中に、こうしたお触れが出た時、国民は何を思うか。
「この戦争の勝利の果てに大きな利益がある。勝てばきっと、今より暮らしが良くなる」

 と、国民はそう思う。あるいは、そう願う。なればこそ、気持ちを高ぶらせ、おのれの闘志に火を()ける。

 逆に言うとな。国民にそう思ってもらえない開戦だったら、その戦争は“初めから(あやま)ち”なのよ。

 開戦もせぬうちに国民に真っ向から反対される戦争などは、国のリーダーのわがままに過ぎぬ。そんな戦争、国民が本気になってくれるわけもなく、大方はボロ負けする。

 戦争には、大きなリスクが伴う。国民の日常生活・財産、そして命までも、犠牲とせねばならぬ。それでいながら、その戦争が国民に“苦労や犠牲に見合うだけの利益”を保証できぬものだったとしたら、誰が協力などするものか! 開戦の決定とは、国民にそれ相当のメリットを約束する責任が、伴うのじゃ。まずは、それを忘れてはいかん。


 さて、とにもかくにも開戦が決まったら、軍を率いる将は、命令を国の君主より正式に受ける。それからいよいよ、軍を召集し、国民を徴兵して、編成を整える。こうして、敵が待つ戦場へ向かって「さぁ、出発!」ということになる。

 さぁ、ここで、たいていの者が見落とす真実が、ある。

 この戦場に向かって進む進軍が「すでに戦いなのだ」ということよ。戦場へと歩む一歩一歩が、もうそれだけで戦いなのじゃ。

 つまり、じゃな。自軍も、また敵軍も、兵士一人ひとりの一歩一歩が“利益を求めた争い”となっておる。そして、ここで前の章のレクチャーを思い出すが、よい。戦争は常に先手必勝。先に戦場に着いたほうにこそ、勝利の高い確率が与えられる。

 だから、少しでも敵より速く進もう。戦場へ少しでも早く到着しよう。そういった“競争の状態”に、すでに入っておる。言い方を換えると、戦場へ向かう進軍とは、まさしく「速い者ほど利益を得られる争い」なのじゃ。

 となれば、進むコースは遠回り・回り道を避けて、少しでも近道を選ぶべきじゃ。無駄な時間を浪費せぬよう、進軍のタイム・スケジュールに細心の注意を払うべきじゃ。

 こうした配慮に思いの届かぬボンクラの将は、いかに強い軍を率いたとて、その実力を生かせぬまま負けるであろう。「猫に小判」とは、このことよ。


 戦場への進軍が、すでに戦いに突入している以上、この時点で敵の動きを探知せねばならぬ。戦いには絶対に「敵とおのれの比較」が必要だとは、ここまで口をスッパくして、わしが教えてきたことじゃろう。

 したがって、敵の進み具合というものを、進軍中ずっとチェックする気配りが、必要じゃ。
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