愛と善意を人に与えよう。与えれば与えるほど、あなたは数多くの恩恵を授かるようになる。
ビジネスで大成功をおさめ、巨万の富を築いたものの、株や不動産取引に手を出して失敗し、一文無しになってしまった……という人の話をよく耳にすることがある。
なぜだろう。いろいろな理由が考えられるが、一つにそれらの人はビジネスで成功をおさめ巨万の富を築いたといっても、それは大勢の人たちの犠牲の上に成り立ったものであるという点が指摘できる。
つまり、その人たちの恨みや憎しみが「帰り矢」となって跳ね返ってきてしまったのだ。自分の欲得を優先するあまり、他人に尽くしたり、貢献することをないがしろにしたツケが一気にまわってきてしまったのだ。
また、海外移住という願望がかなう直前に、脳梗塞を患い、寝たきりになってしまった経営者がいたという。
これも他人の恨みや憎しみを買ったことが原因の一つになっているような気がしてならない。というのも、その人は経営していた会社を身売りし、そのお金を独り占めしたからだ。残された社員のことなど一切考えようとはしなかったのだ。だから、願望がかなうどころか、かえって不幸になってしまったのである。
こう考えると、願望をかなえ、永久的な幸福感を味わうためには、この見出しのマーフィーの言葉にあるように、他人に愛と善意を与えることが重要になってくる。
潜在意識はその深い部分において、私たち一人一人の心とつながっているため、他人に対する態度・行為は、めぐりめぐってブーメランのように自分に帰ってくる仕組みになっているからである。
この作用をプラスに活用するためには、潜在意識の中にある「宇宙銀行」に徳を積むことで、愛他心を養うことが重要になってくる。そうしてこそ、マインド・ファクトリーの機能も高まり、願望もかないやすくなるのだ。
では具体的にどういったことを肝に銘じたらいいのだろう。本章ではその辺のポイントについて述べてみたい。
他人に何かを恵むという行為は、宇宙にあまねく存在する潜在意識に幸福の種子を植えつけたことになる。
「法華経」の中に次のような一節がある。
穀食を得んと欲せば、まさに耕種を行うべし。
大富を得んと欲せば、まさに布施を行うべし。
これは、「穀物が欲しければ、田畑を耕して種子をまかなければならない。同じようにお金持ちになって豊かな生活を送りたければ、まず布施を行わなければならない」という意味で、人に施すことの重要性を解いている。
しかし、ここでいう布施とはお金を恵むことだけをいうのではない。仏教では、布施には物施、知施、法施の三つがあると説いており、お金やモノを与えるのは物施にほかならず、それよりも他人に知恵や知識を授ける知施や、迷っている人を救う法施のほうがより重要であると指摘している。