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(2021/11/26 追記)

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絶対にカネ詰まりを起こさない! 資金繰りの教科書
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ビジネス
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第5章 緊急事態の資金繰り ―「倒産」を考える ―

『絶対にカネ詰まりを起こさない! 資金繰りの教科書』
[著]川北英貴 [発行]PHP研究所


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 資金繰りの困難状態が行き着く先

■破産か、それとも民事再生か


 企業の資金繰りが回らなくなった場合にどうなるか。多くの企業経営者にとってそれは未知の世界ですから、資金繰りが厳しい企業の経営者には、その不安がよぎります。その不安の中で、自らの命を絶ってしまう経営者も少なくありません。そこに至るには、今後どうなってしまうのだろうという不安、周りの多くの人に迷惑をかけているという罪悪感、そこから自らの生命保険で償おうと考える思考、そしてそれらが積み重なることによる精神的重圧、これらが引き金になります。

 企業の資金繰りが回らなくなったら、行き着く先は倒産ということになりますが、倒産の場面では何が起こるか、正しい知識を持てば、そのような精神的重圧は小さくなるものです。私の会社にも、過去に経営を失敗したり、知り合いの会社の連帯保証人となってその会社が倒産し莫大な負債を負わされたりして、破産を経験した後、経営コンサルタントとして活躍してくれている社員が多くいます。このような人は過去の経験を、コンサルティング先企業に語ることができ、それが逆に強みとなっています。だから倒産しても、人生まであきらめる必要はないのです。

 資金繰りが厳しくなった後に行き着く先は、債権者への支払いができなくなる状態ですから、その債権者に債権をカットしてもらいます。そうすると企業は倒産となります。企業自体をなくして負債を整理することが破産、企業はなくさず債権者に債権をカットしてもらい再起にかけることが民事再生となります。

・破産


 破産とは、企業の資金繰りが破綻して、その債権者に対し弁済できない状態の中で、裁判所がその企業の財産を管理し、現金に換えて、債権者に公平に配分することを言います。

 また元の経営者は、金融機関等からの借入金の連帯保証人となっていることが通常であり、合わせて経営者も破産させることが多いです。

 そして破産後、その企業がなくなった状態で、負債もなくなり、元の経営者は次の人生を一からスタートします。

・民事再生


 民事再生とは、資金繰りが厳しい状況にある企業の、事業の再生を目的とするものです。破産と違い、企業は民事再生後も存続することとなります。

 再生手続きの申し立てがなされ、再生手続きの開始決定がなされます。そして再生計画案が作られ、債権者集会が開かれます。再生計画案の内容の中心は、債権者への弁済計画です。そこでは、債権をどれだけの割合でカットするか、どれぐらいの期間でカット後に残った債権の弁済が完了されるかなど、全ての債権者に平等になるように決められます。再生計画案は債権者集会の出席者の多数決により同意される必要があり、同意され、裁判所でも確認されて、はじめてその再生計画が認められます。その後は再生計画に従って事業を行い、企業は債務の弁済をしていきます。




 倒産は経営者が決断しないかぎり起こらない

■あきらめたら、そこで終わり


 企業の倒産は、一部のケースを除き、その経営者が倒産させようと決断しないかぎりは起こりません。

 倒産とは、企業の資金繰りが破綻して債務を支払えなくなり、事業活動の継続が不可能になること、またはその債務を減免してもらうための法的処理のことを言います。

 まず、事業活動の継続が不可能になるとはどういうことか、考えてみます。事業で赤字が続いていくと、それを穴埋めするため、金融機関からの借入金が膨らんでいったり、税金や社会保険料、買掛金、給料などの未払いが増えていったりします。そしていずれ、それ以上の借入ができなくなり、また税務署(税金の滞納の場合)や年金事務所(社会保険料の滞納の場合)による企業の資産の差押え、仕入の継続不能、外注先の外注拒否、社員の退職などが起こってきます。そうなると事業活動は継続不可能となり、事実上の倒産、ということになります。

 なお、手形や小切手を振り出している企業が、6ヶ月以内に2回の不渡りを起こした場合、その企業は銀行取引停止処分となり、当座預金が使えなくなったり新たな融資が受けられなくなったりします。この場合も、日常的に手形や小切手を使用している企業が、それを使えなくなるということで、資金繰りが回らなくなり事業継続できなくなります。それも事実上の倒産ということになります。

 また法的整理は、破産、民事再生、会社更生などの手続きがあります。法的整理は通常、その企業自身の申し立てから始まります。

 破産の場合、企業自身の申し立てにより手続きが開始されるケースを自己破産、債権者の申し立てにより破産手続きが開始されるケースを債権者破産と言います。債権者破産が行われるのは、債務者である企業が支払いの話し合いに応じようとしないなど悪質で、強制的に破産に追い込んでその企業の持っている財産を破産手続きの中で全て換金させ、その中から回収しようというケースが主です。そのような債権者破産がなされるケースは全体的に少ないです。破産は基本的に、債務者である企業自身からの申し立てにより手続きが開始されます。

 民事再生や会社更生でも、その申し立ては債務者である企業から行います。

 こう見ていくと、債権者が債権を強制的に回収しようと債権者破産を申し立てるケースを除き、債務者である企業自身が申し立てを行わないかぎり、破産などの法的整理には入っていかないことになります。

 事業活動は、早期に事業を黒字化し、その時点で延滞となっているものも含め支払い計画を立てていけば十分に継続できますし、法的整理も企業が申し立てを行わなければ基本的に手続きが始まりません。こう考えると、経営者自身が、倒産させるという決断を行わなければ、企業は倒産しないでやっていけるのです。経営者があきらめるかあきらめないかで、その企業の行く末が決まります。




 緊急の資金繰りから再生へ

■1日1日の現金預金残高をプラスにする

「あと2週間で資金が不足する」

 こんな状況に陥ってしまった場合、あきらめて倒産してしまうのではなく、まずは緊急の資金繰りを行うことにより、倒産回避を目指します。

 緊急の資金繰りでは、日繰り資金繰り表により、向こう3ヶ月間の資金繰り予定を目に見えるようにし、11日の現金預金残高がプラスで維持できるよう、調整を行っていきます。

 このような状況では、銀行や信用金庫等から新たな融資が受けられません。融資を受けられるのならこんな状況に陥っていません。緊急の資金繰りでは、入金・支払いに分けて考えます。入金を早め、支払いを遅くすれば、その企業は資金繰りが回り、倒産を回避できます。単純なことですが、動かなければ何も始まりません。

 緊急の資金繰りでは、ノンバンクや親せき・知人など、ふだんは行わないような資金調達策もあたっていきます。そして売掛先で交渉できるところとは、入金を前倒ししてもらえるよう頼み込んでいきます。こんな段階で、かっこつけることはできません。

 そして支払いの方は、延期や分割支払にさせてもらえるよう、交渉していきます。

 全て、日繰り資金繰り表を見て資金繰りを組んでいきます。この段階では月ごとの資金繰りを見る月次資金繰り表だけでは足りないですから、日繰り資金繰り表を併せて使うようにします。



 そして緊急の資金繰りを行って倒産回避できても、それで会社が再生できたわけではありません。ただ倒産回避しただけです。再生に向かって、経営者は進んでいかなければなりません。

 このように倒産回避できたらそれで安心してしまう経営者はとても多いものです。しかしそこから、事業が赤字である状態から黒字化させ、利益を上げて現金を生み出していく中で、迷惑をかけている支払先に支払いを行えるようにしていかなければなりません。事業で赤字を出し続ければその会社から現金がどんどんなくなっていくのですから。

 倒産回避のために緊急の資金繰りを行う際は、金融機関の融資のリスケジュール、返済の減額・猶予は必須でしょう。
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