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Part3 宇宙にまつわる怖い話

『怖くて眠れなくなる科学』
[著]竹内薫 [発行]PHP研究所


読了目安時間:30分
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普段着で宇宙空間に飛び出したらどうなる?

人が宇宙空間で生きられない理由


 突然ですが、もし、宇宙飛行士が普段着のままで宇宙空間に飛び出してしまったらどうなるでしょう? 実際、そんなシーンが、スタンリー・キューブリック監督のSF映画『二〇〇一年宇宙の旅』(原作はアーサー・C・クラーク)に出てきました。人工知能HALの策略で、生身で宇宙遊泳をするはめになった主人公。ご覧になったことがあるかもしれませんが、あんなこと、本当にできるんでしょうか。リアルさを追究したキューブリック監督が、インチキをするなんて考えにくいですから、やはり、できるのでしょうか。

 宇宙といわず、火星の表面に放り出された主人公の顔が膨張し、目の玉が飛び出そうになるのがSF映画『トータル・リコール』(原作はフィリップ・K・ディック)です。「火星の大気は薄く、気圧が低い」というのが、その理由ですが、だとしたら、ほぼ真空状態の宇宙空間に飛び出そうものなら、瞬時に目の玉が飛び出て、体も破裂するにちがいありません。いったい、どちらの映画が本当なのでしょう。

 科学の問題として考えてみましょう。宇宙飛行士が、何らかの理由で宇宙ステーションから外に出てしまえば、当然、すぐに死んでしまいます。では、どれぐらいで死んでしまうのか。そして死因は何か。これには、幾つかの説があります。

 宇宙空間は真空なので、体が破裂して死んでしまう。
 宇宙空間はマイナス二七〇度の寒さなので、凍って死んでしまう。
 宇宙空間は空気がないので窒息してしまう。


 読者のみなさんは、正解はどれだと思われますか?


 答えは、説の窒息なのです。宇宙空間は真空なので、生身のまま飛び出たら、肺の中の空気が膨張して損傷を受けます。しかし、それでもすぐには死にません。また、人間の皮膚は結構強いので、真空の中に入っても、皮膚が持ちこたえて破裂しないんです。

 また、凍らないのはなぜでしょうか。たしかに深宇宙の温度はマイナス二七〇度ですが、私たちが寒いと感じるには、空気を伝わって熱が逃げていかないといけません。真空だと空気がないので熱が伝わりにくいから、そんなに簡単には冷えない。つまり、熱を奪う伝導物質がないということです。

 そうすると、結局は空気がないために、二分間程度で窒息して死ぬことになります。窒息して死んでしまうと、その後に、徐々に体は冷たくなるし、膨張もするでしょう。ただこれは、人間では実験できないので実際には検証できないんですね。

 NASAによる理論研究と動物実験 ―― この動物は何かわかりません ―― では、宇宙空間に生身のままで飛び出ると、肺が膨らんで損傷を受けるということ、それから急な減圧で潜水病になることが明らかになりました。

 また、血液の中に気泡ができて沸騰するという説もありますが、短時間では沸騰しないし、皮膚もバラバラにはなりません。結果的に、空気がないのが致命傷になるのです。

 というわけで、映画『二〇〇一年宇宙の旅』のシーンくらいの短時間であれば平気ということです。やはりキューブリック監督はしっかりと科学的にリアルに映画を作っていたんですね(もともと原作がリアルだというべきかもしれませんが、映像の緻密(ちみつ)さにも敬服するばかりです)。

 ただし、宇宙空間では口は閉じていたほうが良いそうです。唾が沸騰する危険があります。それから目も同様で、涙が蒸発します。目を閉じて、口もつぐんで、息を止めていれば、ジャンプして一〇〇メートルくらいの距離ならば到達できるのではないでしょうか。

 また、宇宙空間で一番怖いのは太陽からの直射日光かもしれません。太陽から大量の宇宙線がやって来る。宇宙線とは、ガンマ線などを含む放射線のことです。

 要するに強い放射線が飛んでくるので、皮膚や目に害があるのです。宇宙船から締め出されて、別のハッチから入らなくてはいけないシチュエーションは、想像しただけで怖いものですが、NASAの研究を信じるのであれば、二分程度は生き延びることができるので活路を見出すことができるかもしれません。


行きはよいよい、帰りは怖い、ブラックホール

ブラックホールはどうやって生まれた?


 宇宙で怖いものの代表格といえば、ブラックホール。ブラックホールは、星のなれの果て。太陽よりもずっと重い星が燃料を全て燃やし尽くし、超新星爆発を起こし、粉々に吹き飛んだ後にぽっかりと開いた「時空の穴」がブラックホールです。

 なんでブラックホールが怖いのかを説明する前に、星が燃料を燃やし尽くしてブラックホールになるプロセスを簡単にみてみましょう。

 星の内部は「溶鉱炉」になっています。そこでは、まず、一番軽い水素を燃やして、それが無くなると今度はヘリウムを燃やす……という具合に、次々に燃料が変わっていきます。溶鉱炉といっても、製鉄所とはかなり違っていて、「燃やす」という言葉も比喩(ひゆ)的に使っています。星の溶鉱炉で起きている反応を核融合といいます。

 地球上ではまだ核融合炉は実用化されていませんが、要するに、太陽が輝いている原理が核融合なのです。小さな原子核同士が融合して、別の大きな原子核になるときにエネルギーが余って、外に放出されるんですね。

 核融合の原理は、アインシュタインの「E=mc」という式です。「E=mc」は、(ニュートンの「F=ma」と並んで)世界一有名な式ですね。Eは「エネルギー」、「m」は質量。質量とは重さのことだと思ってください(ただし、地球から月に行ったとき、質量は不変ですが、重さは六分の一になります。
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