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Part4 地球にまつわる怖い科学

『怖くて眠れなくなる科学』
[著]竹内薫 [発行]PHP研究所


読了目安時間:40分
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人類滅亡の可能性!? ―― 磁極の反転・隕石衝突・全球凍結

北極はS極? 南極はN極?


 地球には、北極と南極があります。そして、方位磁石ではN極とS極があり、Nが指している方向は北極です。つまり、北極は、地球の「磁石」(地磁気)としてはS極ということです。

 え? どういうこと?

 ちょっと違和感があるかもしれませんが、考えてみると当然のことで、磁石はNとSがくっつきます。だから、方位磁石のNがくっつく方向はS極ということです。地磁気・地球全体を磁石として考えると、北極はS極で、南極はN極ということになるんです(これは有名中学の入試問題に出そうですね)。

 磁極は、平均すると数十万年ぐらいで逆向きになり、これを「磁極の反転」といいます。「平均」数十万年なので、数十万年おきに必ず起こるわけではありませんが、現在は地磁気が減り続けているので、このまま減り続ければ、あと千年ぐらいで地磁気はゼロになる計算です。そして、いったんゼロになってから地磁気は反転します。

 え? そんな話、聞いてないよ。一大事なのに、なんで政府は発表しないの?

 たしかに環境省あたりが大騒ぎしても不思議ではありませんが、人類にとって千年という時間尺度は、遠い未来のことなので、政府や企業など、「いま」を生きるのに忙しい人々にとっては、あまり関係のない話題なのかもしれません。ただし、科学的には「地磁気がゼロになって反転する」というのは一大事なのです。

 地磁気は、地球の周りに磁場を作り、宇宙から飛んでくる宇宙線を防いでいます。宇宙線というのは様々な粒子のことです。光の仲間のガンマ線、エックス線、電子やその仲間のミューオンという粒子など。宇宙から飛んでくるので「宇宙線」と呼びますが、基本的には「放射線」と同じものだと思ってもらってかまいません。

 太陽からもたくさん飛んできます。太陽風も、粒子の集まりです。太陽の表面で大規模な爆発(太陽フレア)が起きたら、太陽風もしくは「太陽嵐」が地球を襲います。

 有害な粒子は、遠い宇宙からも飛んできます。たとえば、きわめて強力なガンマ線がビーム状になって飛んでくるガンマ線バーストという現象。いわば、地球は常時、外部からの粒子に総攻撃されているわけです。

人類は地磁気に守られている


 宇宙飛行士は、宇宙ステーションに長期滞在すると、粒子をたくさん体に受けてしまいます。とても危険な仕事です。ある程度の年齢にならないと宇宙飛行士として認められないのはそのためで(あまり公に語られることはありませんが)、子供や妊婦には危険があるのですね。

 地球上の我々に関しては、宇宙線は大気圏で空気分子と衝突して姿を変えたり、消滅したりしますし、さらには磁場が防いでくれています。二重のバリアで守られているんですね。空気がなくなる心配はありませんが、磁場がなくなるということは、丸裸になるような状況なので紫外線も強くなり、皮膚がんも増えるでしょう。

 いまから千年後に磁場がなくなって、バリアのひとつが消えると、細胞の核にしまわれているDNAの突然変異もこれまでより頻繁に起きるようになります。まさに、有害な放射線に対して無防備になってしまうのです。そのとき、人類はどうすればいいのか。たとえば外に出るときには、防護服でも着なくてはいけないのかもしれません。

 ただ、生物の種は、突然変異により「進化」する側面もあるので、地球の生態系全体として考えれば、新しい進化の契機になるかもしれません。それでも、地球規模の「進化」のために、人類が絶滅するのは、やはり怖いですよね。

 地磁気の反転は、最近では八十万年前に起こりました。日本人の松山基範さんという人が地磁気の先駆的な研究をしていたので、「松山逆磁極期」と呼ばれています。

 ここで、これまでの、生物の大量絶滅した時期をまとめてみましょう。

 まずは白亜紀の末。今から六千五百万年前です。それから三畳紀の末。これが二億一千万年前。それからペルム紀の末。二億四千八百万年前ですね。ちょうど、地磁気の反転と重なるように、生物の大量絶滅が起きています。ただ、「地磁気の反転」イコール「大量絶滅」ではありません。というのは、八十万年前にも起きた地磁気の反転の際は、大量絶滅は起きていないからです。

 おそらく、大量絶滅は、地球規模の気候の大変動と地磁気の反転が重なったりして、複合的な要因によるのではないでしょうか。

生物の大量絶滅は過去に一一回


 ちなみに、過去に生物の大量絶滅は、先程の三回を含めて計一一回起きています。過去五億四千万年の間で、大量絶滅が一一回。うーん、多いのか少ないのかわかりませんね。

 そのうちの五回は規模が大きくて、全生物の七割から八割が絶滅しました。もっとも最近に起きたのが、先程も話に出た白亜紀末です。このときは、恐竜が絶滅しました。そして、海洋生物の実に七六パーセントが絶滅したのです。原因は、巨大隕石の衝突だと言われています。宇宙から飛来した隕石がメキシコのユカタン半島北部を直撃したんです。今ここに直径一八〇キロメートルのクレーターがあります。宇宙から見るとクレーターが円状になっているのがわかる程で、巨大隕石の衝突により、ものすごい爆発が起きたことがわかります。世界中に粉塵が舞い上がり、大津波が地球を何周もしました。

 地球全体がススで覆われて寒冷化が起こり、異常気候となった。それが大量絶滅の理由とされています。ただ、計一一回の大量絶滅の原因が全て隕石かというと、どうもそうではないらしいのです。

 地球内部から「メタンハイドレート」という物質が出てきたことが原因だという説もあります。地球規模の火山爆発のようなイメージですね。海底の至るところからドボドボドボと、メタンハイドレートが出てきたといわれていますが、真相は謎のままです。

絶滅の運命は一億年前に決まっていた


 実は、巨大隕石の話には、おまけがあります。もうちょっと詳しくお話ししましょう。

 一九七八年、メキシコのユカタン半島で石油採掘中に、直径一八〇キロのクレーターが発見されました。これが、前頁でも話が出てきた白亜紀の隕石です。あまりにも大きすぎて円状のクレーターだとは、誰も思っていなかった。ただのくぼ地というか、地形のひとつだと思われていました。

 隕石の直径は一〇キロメートル。とてつもない大きさで、それが空から降ってくるわけです。一〇キロメートルといえば、私が住んでいる横浜から川崎までの一帯が丸ごと潰されてしまう大きさです。みなさんが空を見上げると、大都市二個分の大きさの黒い塊が、時速一万キロという想像を絶する速さで「降ってくる」んです(燃えているから実際には真っ赤に見えるのでしょうが)。最新鋭のボーイング787の巡航速度がだいたい時速九〇〇キロメートルですから、隕石の落下速度は、飛行機の一〇倍以上ということになります。
杞憂(きゆう)」というのは、空が落ちてくる心配をする人間の愚かさを皮肉る中国の故事に由来する語ですが、現代科学の観点からすると、空が落ちてくるというのは、実際にあるわけです。

 さて、巨大隕石が落ちてくることに気づいたとしても、ものすごい速さですから、あなたは逃げられません。
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