読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン
0
-2
kiji
0
0
1254508
0
プレッシャーに強くなる技術
2
0
0
0
0
0
0
生き方・教養
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
第4章 日常生活の中で「胆力を鍛える」方法

『プレッシャーに強くなる技術』
[著]齋藤孝 [発行]PHP研究所


読了目安時間:23分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ


「我慢した」ではなく「腹に収めた」と考える


「前任者が始めたプロジェクトが失敗に終わり、その後始末で日々忙殺されている」「同僚が不在中にかかってきた顧客からのクレーム電話を、たまたまとってしまったために、代わりに一時間近く怒られた」……。

 日々働いていれば、「私のせいじゃないのに」「あの人の尻拭(しりぬぐ)いをなんで私が」などと文句を言いたくなることがある。特に会社員の場合、「そうしたことは日常茶飯事」という人も少なくないだろう。

 でも多くの人は、「誰々が悪い」「自分の責任ではない」と言いたいところをぐっと我慢し、黙々と自らの職責を果たす。場合によっては、しかるべき先に頭を下げにいく。

 実は、そういう試練をいくつも乗り越えることで、自然と腹が鍛えられている。このように、ふだん働いているだけで、期せずして“人間修養”をしているわけだ。日本のサラリーマンの皆さんは、このことをもっと誇りに思っていいし、自信を持ってもいい。

 今後、「私のせいじゃないのに」「あの人の尻拭いをなんで私が」などと文句を言いたくなることが起きたときは、「我慢した」とか「耐えた」と思うのではなく、「腹に収めた」と自らに言い聞かせるようにしてほしい。

 そのたびに腹が一つ大きくなっていくと思えば、また受け止め方も違ってくるのではないだろうか。


 会社員にかぎらず、とりわけ仕事上で重い責任を負ってきた人は、相応の大きさの器を持っている。もともとあったわけではなく、日々のこうした“プチ人間修養”の積み重ねによって大きくなったのだろう。

 もちろん、同じ経験をしていても、器が大きくなっていかない人もいる。その差はズバリ、「心の持ち方・習慣」にある。

 本章では、胆力強化につながる「心の持ち方・習慣」を紹介していこう。

潔く負けを認めてこそ成長できる



 前項の事例とは正反対の話になるが、何かトラブルが生じたとき、当事者でありながら、「○○の指示が悪かった」「時間がなかった」「客がわがままだった」などと言い訳に終始する人がいる。これでは、解決からどんどん離れてしまうだけだ。

 そればかりか、周囲の信用も人望も失うだろう。まして上司の立場にある人だったら、間違いなく「嫌な上司」の上位にランクインするはずだ。

 ここで足りないのは、虚心坦懐に自分の問題として捉える強さだ。言い訳したくなる事情もあるだろうが、とりあえずは沈黙して引き受ける。その上で、自分に非はなかったか、こうすれば未然に防げたのではないかと省みる。こういう姿勢が、結局は信用を集めるのである。

 だいたい責任転嫁は、自分を大事にしすぎることから生まれる。たしかに周囲から批判されることは辛い。意味のない誹謗中傷の類であれば、まったく聞く必要はない。しかし本質的な部分を指摘され、それによって気づくこともよくある。そのチャンスを逃すことは、得策とはいえないだろう。

 その点、胆力とは、自己肯定感を持つ一方で、現実から逃げない度胸を持つことだ。とりあえず保身や自己弁護に走らないように踏み止まる、というだけの話だから、これはすぐにでも実践できるはずである。


 もう一つの心得は、似て非なるものだが「現実逃避しない」ということだ。トラブルとまでは行かないまでも、劣勢に立たされたり、敗色濃厚になることはよくある。

 そんなとき、「負け」を認めたくない一心で現実を直視せず、都合よく解釈して決断を先送りする人がいる。あるいは甘い見通しを立て、挽回を期して余計にのめり込んだりすることもある。これも気持ちはわかるが、事態はますます悪化しかねない。

 例えば武道における「礼」とは、まさに現実を直視するために存在する。負けた際には潔く負けを認めることが、その道を極めようとする者の最低限の資格なのである。

 プロ棋士の世界では、投了の際には自ら「負けました」と声に出すのが作法だ。考えてみれば、これはきわめて厳しい話だろう。悔しさを呑み込んで、これまで戦ってきた相手に頭を下げなければならないのである。しかし、それができて初めて対局できるのである。

 まして一般的な仕事の場合、武道や将棋と違って勝ち負けははっきりつきにくい。どうしても雰囲気や人間関係、あるいは見栄に流されて、曖昧な評価になりがちだ。
この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:9610文字/本文:11366文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次