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未来を読む AIと格差は世界を滅ぼすか
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経済・金融
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Chapter7 民主主義を揺るがす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々

『未来を読む AIと格差は世界を滅ぼすか』
[編]大野和基 [著]ジャレド・ダイアモンド:ユヴァル・ノア・ハラリ:リンダ・グラットン:ニック・ボストロム:ダニエル・コーエン:ウィリアム・J・ペリー:ジョーン・C・ウィリアムズ:ネル・アーヴィン・ペインター [発行]PHP研究所


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“アメリカの白人中流階級の日常は、アメリカンドリームと乖離しつつあります。一九四〇年代に生まれたアメリカ人のほとんどは、最終的に自分たちの親よりも収入が多くなっていますが、今日では親より収入が多い人は半分以下になっています。”




 二〇一六年のアメリカ大統領選挙では、多くのメディアや有識者は「ヒラリー・クリントン氏(※1)の当選」を予想していた。同年一一月、トランプ氏陣営が勝利を収めたとき、ほとんどの専門家は「信じられない」という反応だった(対して筆者はドナルド・トランプが大統領に選出されることを同年六月の時点で予想し、七月に『アメリカはなぜトランプを選んだか』[文藝春秋]を開高一希のペンネームで上梓していた)


 ヒラリー・クリントン氏自身は自分の敗北は、ジェームズ・コミーFBI長官(当時)が投票日の一一日前に私用メール問題の再捜査を通知する書簡を議会に送ったことを明らかにしたことだと断言しているが、実際はそれほど単純な話ではない。トランプ氏が勝利した背景には、アメリカにおいてこれまでスポットがあてられてこなかった、さまざまな社会変化がからみあっていると言ってよい。

*    *    *


 ジョーン・ウィリアムズ氏はヒラリー・クリントン氏の敗北の要因の一つが「階級に対する無知」であるとし、特にトランプ氏を強く支持する「ホワイト・ワーキング・クラス」の存在が重要であるとする。彼らは家族のため、国の繁栄のために、(ふん)(こつ)(さい)(しん)で働いてきたのに、「アメリカンドリーム」を実現できないでいるからだ。


 この「ホワイト・ワーキング・クラス」はかつて、アメリカの製造業の発展を支えてきた人々である。アメリカ人の五三パーセントにあたる、労働者階級、つまり中流階級の白人たちだ。しかし、グローバル化や産業構造の変化により、「自分の親たちよりも経済的に成功する」割合は半数に満たず、多くが貧困層へ滑り落ちたり、自分の子どもたちが貧しくなっていくのを()の当たりにしている。

*    *    *


 彼らは、自らの腕で財を築いた富裕層(トランプ氏はもちろんその一人である)に対しては「アメリカンドリームの実現者」として敬意を抱く。しかし、彼らを「こき使う」工場の監督や、看護師(ワーキング・クラス)に対して無礼な言い方をする医師などの専門職(プロフェッショナル)に対しては怒りを感じている。


 こうした白人労働者層、すなわち「ホワイト・ワーキング・クラス」は何を求めているのか。現代のアメリカに生じている、知られざる重要な一面を教えてくれるインタビューである。



 ──米大統領選におけるトランプ氏の勝利の要因の一つがホワイト・ワーキング・クラスの怒りであったことに、多くの人が賛同しています。ホワイト・ワーキング・クラスとは、どんな人たちのことを指すのでしょうか。



 ウィリアムズ アメリカ人の五三パーセントを占める中流階級をワーキング・クラス(労働者階級)と定義します。この層にいる人々をわれわれは労働者階級と呼びますが、実際は中流階級のことです。アメリカ人は労働者階級という言葉を一貫性なく使います。ちなみにエリート層が労働者階級という言葉を使うのと、中流階級層が労働者階級という言葉を使うのとは違う意味が生じてきます。私がホワイト・ワーキング・クラスとするのは、平均世帯年収が七万五○○○ドル(約八○○万円)より少し多い、アメリカ人の五三パーセントに当たる中流階級にいる白人です。



 ──約五〇パーセントもの中流階級すべてが白人というわけではありませんよね?

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