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(2021/11/26 追記)

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不節制なのに、なぜか「健康な人」の習慣
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くらし
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第2章 なぜか「健康な人」の食生活

『不節制なのに、なぜか「健康な人」の習慣』
[著]石原結實 [発行]PHP研究所


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便秘がちの人に多い糖尿病


 私の友人Bさん(60歳)は16354と極めてスリムですが、髪も黒々とし、外見や容貌からは、どうみても40歳代にしか見えません。全くといってよいほど、運動もせず、食事に留意している様子もなく、おまけに大のアルコール好きで、毎晩かなりの量のお酒を浴びるほど飲むのですが、アルコール過飲の指標となるγ‐GTPや、GOT、GPTなどの肝機能値、コレステロール、中性脂肪、尿酸などの生活習慣病(脂肪肝、高脂血症、痛風など)の時上昇してくる検査値も全く異常がありません。
「不思議な人だな」とつねづね思っていましたが、Bさんと海外旅行をご一緒して、その謎が解けました。毎日、朝昼夕の食事の前に持参の梅干しを2個食べ、食事後は必ずトイレに行き、大便をするのです。

 健康診断などで被検者をよく観察していると、慢性下痢で悩んでいる人はやせ型で、一見元気がなさそうなのですが、実際の検査値の、尿検、心電図、コレステロール・中性脂肪、血糖、尿酸、貧血の検査などの異常を示すことがほとんどありません。

 逆に、血色がよく、堂々たる体格の持ち主の人で、いかにも健康そうな人でも、便秘がちの人は、高脂血症、高血糖(糖尿病)、高尿酸血症(痛風)、タンパク尿や血尿(腎臓病)、心電図上の虚血性変化(狭心症、心筋梗塞)、便潜血陽性(大腸ガンやポリープの疑い)などの異常を示す確率がうんと高くなります。

 ノーベル医学・生理学賞を受賞したロシアのメチニコフ(1845〜1916年)は、「コーカサス(カスピ海と黒海の間の地域)の人々が、健康・長寿を保っているのは、ヨーグルトやチーズなどの乳酸菌が豊富な乳製品をしっかり食べて、腸内(ちようない)環境がいいからだ」(メチニコフの長寿学説)と喝破しています。

 逆に、「便秘、食べすぎ、肉食過剰などで、腸内環境が悪くなると腸内にアミン、アンモニアなどの中毒物質が生じ、自家中毒を起こし病気に(かか)りやすくなり、老化を早め短命になる」とも述べています。

[解説] 免疫力を高める組織の70%が存在する腸


 我々の腸の中には、100種類、100兆個の細菌が()みついています。

 その中で善玉菌といわれるビフィズス菌や乳酸菌などの十数種の細菌は、・E・Kなどのビタミンを合成し、タンパク代謝の促進、消化吸収の補助、外から入ってくる病原菌の増殖防止などという重要な働きをする上に、腸内で食物が腐敗するのを防ぐ役割もしてくれます。

 一方、悪玉菌は、ウェルシュ菌、病原性大腸菌、ブドウ球菌、プロテウスなどで、これらの悪玉菌は腸内でアンモニア、アミン、インドール、スカトールなどの有害物質や活性酸素を作り、腸内を中毒状態におき、肝臓を痛めつけ、体内の炎症の原因を作り、また、発ガン物質を産生します。

 腸内に悪玉菌が発生する要因として、食べすぎ、肉食過剰、運動不足、疲労やイライラ、化学薬品の摂りすぎなどがあげられますが、「便秘は特に悪玉菌の増殖の大きな要因になるし、逆に、悪玉菌が多くなると便秘になる」という相関関係があります。

 腸内には「パイエル板」というリンパ節をはじめ、体全体のリンパ組織のうち、およそ70%が存在し、体の中の免疫力の中心的存在となっています。漢方医学で「お腹」が「お中」といわれる所以でしょう。

 腸内の悪玉菌を抑えて、善玉菌を優勢に保つためには、ヨーグルトの摂取がすすめられますが、我々、農耕民族にとっては、乳酸菌飲料の代役として納豆、味噌、醤油、漬物などの発酵食品の方が、より体質に合っているはずです。

 乳酸発酵漬物であるキムチが、(くだん)の悪玉菌やピロリ菌(胃潰瘍、胃ガンの原因菌)やサルモネラ菌(食中毒菌)を殺菌し、SARS(新型肺炎)ウイルスにも効く、とする研究がありますが、日本のたくあんや野菜漬、梅干しなどの発酵漬物も負けてはいません。こうした漬物は、乳酸菌が豊富に含まれ、腸内環境を整え、腸内の免疫細胞(リンパ組織やマクロファージ)を刺激して全身の免疫力を増強させ、発ガン抑制もしてくれます。

 大便の乾燥重量の約半分が腸内細菌とされていますが、善玉菌が増殖して腸内環境のよい時は、「硬からず柔らかからず」の、「黄、または黄褐色の太い」便が、スムーズに出るものです。まさに、「便は健康の便り」なのです。

 乳酸菌は食物繊維を食糧とし、また棲処(すみか)として腸内で増殖します。よって、腸内の善玉菌を増やすには乳酸菌を含んだ食物を摂ると同時に、食物繊維を多く含む海藻、豆類、野菜、コンニャク、果物など、一見“消化の悪そうにみえるもの”を食べる必要もあります。

コラム 腸内の善玉菌を増やす食物繊維


 食物繊維とは、セルロース、ペクチン、リグニンなどの、植物の細胞壁を形造っているもの、海藻の多糖類などのこと。

 腸内でだぶついている糖、脂肪、塩分などの余剰物、発ガン物質、ダイオキシン、食物由来の残留農薬、食品添加物などの余剰物や有害物を吸着して大便と共に捨ててくれるので、糖尿病、高脂血症・脂肪肝・肥満、高血圧、大腸ガンなどの予防・改善に役立ちます。

 その他、食物繊維の不足により便の量が少なく硬くなると、便を排泄しようとして腸圧が上がりヘルニア(脱腸)や憩室(腸の一部のふくらみ)も起こしやすくなってきます。便秘により、便の停滞時間が長くなると、悪玉菌が繁殖して、虫垂炎が起こりやすくなります。

 その他、痔核、下肢の静脈瘤、潰瘍性大腸炎、クローン病、胆石、胆のう炎、虫歯、十二指腸潰瘍なども食物繊維の不足と関係している、ということが種々の研究や疫学調査から明らかにされています。

 このような諸事実から食物繊維や乳酸菌など善玉菌により排便を促すことが、免疫力を高め、健康の維持・増進に極めて重要なことがわかります。この便通促進作用を人為的に行うのが浣腸(かんちよう)です。

 ガンを人参・リンゴジュースをはじめ、黒パンと生野菜だけで治すことで世界的に有名なゲルソン病院を、メキシコのティファナに訪ねたことがあります。ここでは、患者さんに一日13杯の人参ジュースを飲ませる他、食物は黒パン、生野菜、果物だけの完全菜食。

 その他、無農薬コーヒーで大腸を洗浄する「コーヒー浣腸」を一日3回、患者さんにやらせるというのが、治療のメインになっていました。このコーヒー浣腸は、腸はもちろん肝臓内の毒素も洗い流して、全身の免疫力を高めるとのこと。

農民より漁民が若くみえる理由


 貿易会社を経営しているCさん(80歳)は湘南で生まれ、湘南で育ったので、海が大好きな方です。80歳の今日でも、夏は海水浴に出かけていくし、冬でもドライブ中に海が見えると、「フンドシひとつになり、海に入ってひと泳ぎします。もう、いい年をしているので心配だ」と奥様がよく嘆かれます。Cさん曰く、「海につかった後は、名状しがたい爽快感、健康感にひたれる」と。

 Cさんは長男に「海彦」と命名し、外国航路の船長に育てあげたのですから、海に対する思い入れは半端なものではないのです。

 私が大学院時代、長崎県の種々の地域の農民と漁民の疫学調査をしたことがあります。

 種々の血液検査の他に、心電図や老化度をチェックします。老化度は、身長・指極比といい、(身長)(指極〈両腕を左右に水平に広げ、一方の中指の先から他方の中指の先までの長さ〉)で推定します。というのは、若い時は、この身長/指極=1なのです。つまり、身長と指極の長さがほぼ同じということです。年齢と共に、背骨の骨が圧縮して身長が縮んでくると、身長/指極=0・9……となってきます。指極の長さは変わらないからです。この値が小さくなる程、「老化している」ことを示しています。

 こうした検査をすると、何百人何千人の調査で、同じ年代なら、いつも「農民より漁民が若い」という結果が出たものです。

 ある疫学調査で、「心筋梗塞(血栓症)の発作の割合は、農民は漁民の約3倍だった」というデータもあります。

 こうした調査をする時は、調査対象の農村と漁村は近接していて気候その他の外的条件は同じにする、というのが前提です。

 こう見てくると、健康・長寿の要因として「海」がクローズ・アップされてきます。

[解説] 血液と酷似している海水のミネラル


 30億年前に、この地球上にはじめて生命が誕生したところが海でした。この生命は20億年以上も海の中だけに存在し、海水から、水分や栄養を吸収して生きていたわけです。やがて、海から陸へ「生命」がはい上がってきた時、「海」をだきかかえてくる必要がありました。そうしないと、干からびてしまいますから。

 その「海」が、血液です。「赤い血潮」という言葉もあるし、また、血液や羊水と海水の浸透圧(ナトリウム、カリウム、塩素などミネラルのバランス)が酷似していることを考えれば、よくわかります。まさに、「海」は生命を「産み()」出したところなのです。よって「人間は、今でも血液という海につかっている」といってよいでしょう。
「夏に陽光を浴びて海水浴をすると、冬に風邪を引かない」とか「海でケガしても、化膿しない」ことが経験的に知られています。
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