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すべての生命は海から生まれた
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ルポ・エッセイ
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第十一章 食物にみる生命のつながり

『すべての生命は海から生まれた』
[著]中村幸昭 [発行]PHP研究所


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生きるための知恵


 動物である限り、生きるためには食べなければならないが、人間と他の動物との決定的な違いは食生活にはっきりとあらわれている。

 動物は必要最小限の餌を食べ、休憩、休養をしなければならず、動物によっては冬眠とか夏眠といった習性のあるものもある。ところが人間は、毎日、三食の食事を必要とし、最低のカロリーを要求される。もし、人間が三日間も何も食べないならば空腹で疲労し、思考力も鈍って生命力を失ってしまう。

 何年か前、南米のある深山に旅客機が衝突するという事件があった。ほとんどの乗客は死亡したが、わずかに生き残った人びとは食物を求めて雪の中をさまよい、何も得られずについに人間の死体を食べて命をつないだというショッキングなニュースがあった。

 動物の中でも、例えばアリは自分の巣に昆虫やミミズの死体を運んでストックしたり、キノコの種を持ち込んで栽培する利口なのもいる。鳥が巣に何日分かの餌を集めている場合もある。しかし、このような例外を除いては、その日その時の必要に応じた獲物を求める以外は、決して余分の餌は求めないのが普通である。けれども人間は、何でも手当たり次第に捕まえたり殺したりして、かん詰、びん詰、干物、インスタント食品まで考え出して貯蔵しようとする。

 人間は他の動物や生物を大量に食べるため、大規模な耕地、森林、海岸といった自然を破壊し、放牧、畜養、農耕、栽培、養殖などを行ってきた。他の動物が地球上の自然を壊さず、自然の摂理の中でバランスを守ってきたこととは大きな相違があるのだ。

弱肉強食の世界


 弱肉強食の動物界では、弱者ほど臆病で警戒心が強く、保護色などのカムフラージュによって外敵から身を守るための特殊な器官が発達している。

 例えば、近寄ろうとしただけでニオイを出すとか音を出して身を守ったり煙幕や毒を出すなど、あらゆる抵抗を試みるものである。これなどは人間の“むだな抵抗”よりずっと進歩しており、巧妙な保身術には実に驚かされる。それでも強い者は力だけではなく、生きてゆくための知恵も発達していて、適当な獲物を捕え、必要な餌がたやすく得られるような体の構造や器官になっている。

 動物が一定の種類しか食べないのに比較して人間という動物だけが何でも手当たり次第に食べている。米、麦、いも、豆といった農産物から牛、豚、羊などの哺乳類、鶏、アヒル、鴨などの鳥類、エビ、カニの甲殻類、貝を始め無数の無せきつい動物、野菜、海藻、はては鯨から昆虫、魚、草花まで食用としているから全くの雑食性動物であり、他の生物から見れば始末におえない存在である。

 ドイツの有名な動物園のあるおりの前に立札があって「このおりの中には史上最も恐ろしい危険な動物がいますから御注意下さい」とあった。
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