CHAPTER.3 23
細分化すること
一点集中するためには、全体を細かく分け、選別をすることです。
一番わかりやすいのは、エリア・地域戦略です。
例えば、東京都千代田区丸の内といえば、だいたいあの辺とわかります。
しかし、丸の内で会いましょうというあいまいな意識では、人と出会えません。
丸の内の企業に訪問する、というのも同じです
丸の内1は東京駅ですが、丸の内3だと有楽町駅が近くなります。距離にして700メートルは違います。さらに丸の内1‐1は皇居に近いパレスホテル近辺ですが、丸の内1‐7は線路の逆側の八重洲口になります。ここも距離にして700メートル。歩けば10分。あまりに漠然と考えているので、結果も漠然としたものになるのです。
待ち合わせならば、1時間近く探し回ることになるかもしれません。
漠然とした考え方が、多くの時間のムダを生みます。
仕事ができる人は、もっと細かく具体的に物事を考えています。営業エリアであれば、今日は丸の内1‐1だけ、と細かく分けて一点集中して訪問する。
待ち合わせの例をとって、さらに細かい具体例をあげると、
「東京駅丸の内南口改札を出て、右手に20メートルのところに東京ステーションホテルのロビーがあります。そこで、12時30分にお会いしましょう」
「東京駅1番線ホーム、新宿寄りの一番前の車両の1番目のドアのところにいます」
という感じです。待ち合わせの一点集中の例です。
細かく一点集中していれば、成果が出やすくなります。
場所を細かく指定すれば、間違いがありません。
手のひら全体で押しても穴はあきませんが、キリで突き刺せば穴があくのに似ています。
CHAPTER.3 24
「いまだけ、ここだけ、あなただけ」
この「いまだけ、ここだけ、あなただけ」は、スゴイ表現です。
理由は、
いまだけ(=時間の限定)
ここだけ(=場所の限定)
あなただけ(=人の限定)
と、一点集中をしている表現だからです。
セールストークとしても強烈です。
「いまだけ、この価格、1万円が5000円」
「ここだけ、札幌限定商品。東京では売っていません」
「あなただけ、奥さん、奥さんだけに、おまけしちゃう」
と言われたら、人は買いたくなってしまうのです。
これが限定の力です。一点集中の力です。
時間と場所と人を「〜だけ」と限定する、一点集中するので、力があるのです。
しかし、この言葉には注意をしてください。
使いすぎないことです。使いすぎると、ちょっとうさんくさくなります。
人の失望を買う可能性が出てくるのです。
できたら本当は、「いまだけ、ここだけ、あなただけ」のまったく逆の、「いつでも、どこでも、だれにでも」同じように接するのが超一流の条件です。
「いまだけ、ここだけ、あなただけ」と「いつでも、どこでも、だれにでも」。
両方のプラス面とマイナス面を知ったうえで、上手に使ってください。
一点集中はいいことですが、ちょいと強い薬のような副作用があることを忘れずに。
CHAPTER.3 25
手を広げない
仕事でより効果的に成果を出すコツの一つは、「手を広げない」ことです。
それがいわゆる、「広域戦より局地戦」ということです。
仕事の戦線を広げると多くの場合、失敗します。