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田中角栄に聞け
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政治・社会
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終章 田中角栄と小沢一郎

『田中角栄に聞け』
[著]塚本三郎 [発行]PHP研究所


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鳩山対吉田の孫たちの因縁


 政治とは天命なのか。否、大衆が、天命に動かされ、振り回され、大きな波動となって、政治を因縁づけてきたのではなかろうか。

 敗戦後いち早く自由党を結成したのは、戦前からの因縁に基づいて、鳩山家を引き継いだ鳩山一郎が中心となり、河野一郎や三木武吉が中核となった。

 ところが不幸にも、彼らは戦時中の言動が問われて、公職追放の身とされた。

 致し方なく、せっかく創り上げた自由党を、吉田茂を中心とする官僚群に預けざるを得なかった。

 鳩山らは、追放はほんのいっときのつもりであった。ところが、なかなか解除されない。吉田派が解除を延ばさせたとの憶測もある。

 解除になれば、鳩山は吉田が総裁を譲るものと見ていた。ところが、日本が独立し、追放を解除になっても、吉田派は一向に総裁の席を譲る気配を見せない。公党である自由党総裁の席を、私的感情で軽々しく譲るべきではない、と弁明して。

 一方、鳩山は、政治倫理としてただちに譲るべきだとして、両派は対立を深めた。

 問題がこじれた結果、吉田は抜き打ちで衆議院を解散した。

 争点は、独立後の「憲法改正」と「再軍備問題」であった。

 吉田首相はアメリカの機嫌を(うかが)い、憲法改正と軍備強化に消極的だ。鳩山派は吉田派と対抗するため、再軍備と憲法改正を主張した。

 一方、改進党は再軍備を提唱し、日本社会党は、左、右とも再軍備に反対した。

 選挙の結果、追放解除されていた反吉田派が「日本民主党」を結成した(衆院一二一名)。

 日本民主党は、占領以来の諸制度を改正し、独立自衛力の完成を期する、と綱領五項目を発表した。そして選挙に際して、とくに憲法改正等を訴えた。

保守合同の自民党


 日本民主党は、やがて社会党の増大に対抗して自由党と合同した。五五年体制であり、保守合同である。保守合同の結果、鳩山一郎がようやく保守党の自由民主党総裁の座を占めることができた。鳩山一郎は、ソ連との国交回復が唯一の事績とされている。

 鳩山一郎を中心とする反吉田派の遺恨は、即、嫌米へと連動していると推測する。原因は占領下の公職追放にあると見る。

 日本民主党結成時、すなわち政界復帰時の綱領が鳩山一郎の真意ならば、その後の保守合同となっても「憲法改正」と「軍事力の強化」を(ないがし)ろにしたのは問題だ。

 吉田派が占領下の憲法を擁護し、米軍に安全保障を委ねて、ひたすら経済復興、発展に努めたのとは対照的であっても当然ではないか。

 米ソ対立の冷戦下、日ソ国交回復を行なった鳩山一郎の魂胆は見えみえである。
「戦争で失った領土は、戦争で取り戻す以外にない」。これは世界の軍事常識である。だから北方領土の返還は戦争以外にはないと思うかもしれない。

 だが、日本の奪われた北方領土は違う。日本は、ソ連とは戦争を行なっていない。

 当時日ソ中立条約下であり、日本はソ連に、戦争終結を仲裁してもらうべく依頼していた。駐ソ大使・佐藤尚武から仲裁の依頼を受けた仲人であるソ連が、日本の戦意喪失を知って突然敵方となり、北方領土を強奪したことは「火事場泥棒」そのものである。

 その没義道(もぎどう)の国に対して、眼前の国家目標としている「北方領土返還」を軽視し、しかも軍事同盟のアメリカと対立していた国と、何も得るところもなく国交回復を行なった。鳩山一郎の行動は、吉田派に対するツラアテとも思える。

 しかも、資源欲しさに投資した「サハリン2」さえ、やがてロシアに没収された。

 独立した日本が、いまだ占領下のごとく、アメリカの意向に従属したままの政治は、国民の望むところではない。
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