読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン
0
-1
kiji
0
1
1261731
0
無縁社会の正体
2
0
0
0
0
0
0
政治・社会
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
はしがき

『無縁社会の正体』
[著]橘木俊詔 [発行]PHP研究所


読了目安時間:3分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ


 白骨となった高齢者の死体が発見されたのが、死後数ヶ月後あるいは数年経過してからとか、赤ちゃんに食べ物が与えられずに亡くなった、というような恐ろしい事件が明るみになる時代となった。高齢者の孤独死、児童虐待、DV、離婚、貧困などの暗い言葉が飛び交うようになり、「無縁社会」の到来を告げることとなった。

 高齢になって一人で住む人、結婚せずに一人で住む人、離婚して一人で住む人、たとえ家族と一緒に住んでいても子育てをしない人、妻に暴力をふるう夫、などの悲しい現実が多くなった。一言で要約すれば、家族の絆の弱体化、あるいは家族をつくらない人の増加、と言ってよいだろう。これを別の言葉で表現すれば血縁関係の希薄化ということになる。

 実は日本においては、血縁関係のみならず、地域に住む人々の助け合いを重視した地縁、同じ会社に働く人々の間での団結を重視した社縁、といったことも社会において効力を発揮してきた。

 血縁、地縁、社縁を人間生活の基本において、人々がお互いに助け合う共同体意識の強かった社会を「有縁社会」と理解することのできた日本社会であったが、それらの特色が弱まって「無縁社会」になってしまったのである。

 本書ではこれら血縁、地縁、社縁が弱まったことによって、日本人の間でどのようなことが発生しているのかを、まず具体的な事象を報告することから始める。孤独死、児童虐待、あるいは貧困などといった現象の実態がまず明らかにされる。

 そして、一昔前であればこのような現象がさほど目立たなかった理由を、「有縁社会」という理解から論じることにする。なぜ日本人は血縁、地縁、社縁を大切にしてきたのか、その歴史的な経緯や人々の心の拠り所を分析した。

 そしてなぜ日本人が「有縁社会」から「無縁社会」を選択するようになったのか、を徹底的に議論する。日本が経済発展したからこそそうなったし、人々が個人主義を好むようになったこともあるし、社会・経済制度の変化がその選択を促した側面もある。

 家族のこと、企業のこと、経済のこと、福祉のこと、政府のことなどに関心をもって研究してきた筆者にとって、これらを議論する材料を持ち合わせていたので、比較的素直に取り組めたテーマであった。

 最後は、では政策はあるのか、というのが課題となる。日本人にとって「無縁社会」によって生じる不幸を最小にすることは、緊急の政策課題である。個人がせねばならないこと、政府・公共部門がせねばならないことを中心にして、望ましい政策を考えてみた。

 実はここで論じた「無縁社会」とは無縁で、家族の絆の強い人々はたぶん多数派である。地縁や社縁がまだ生きている中にいる人々もいるだろう。こういう人々にはさほど問題がないので、政策を論じる必要性は低い。

 たとえ少数派であっても「無縁社会」の中にいる人の不幸は、報道されるように非常に悲惨な結末で終了するので、社会で看過できない状況となっているのである。たとえ少数派であっても、それら悲惨な事象の発生数を減少させ、かつ人々が安心できる生活を送れるようにしたいものである。本書が「無縁社会」を考えるうえで参考になれば幸いである。

 本書はPHP研究所の佐藤義行氏の強い勧めで刊行に至った。氏の効率良い編集作業に感謝する。内容や主張に関することの責任は、すべて筆者にあることは言うまでもない。


  二〇一〇年一二月
橘木俊詔 
この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:0文字/本文:1397文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次