反抗期に本物の反抗をしよう
勉強がまったくできなかった僕には進学する高校の選択肢すらなかったので、厳しい校風とは裏腹にヤンキーだらけの男子校、浪速工業高校に入学することになった、というのは、すでに話したとおりだ。
高校生になったらロングヘアにしてギターを弾きまくってやる!なんて夢は、もちろん叶うはずもなく、ゆるされた頭髪は坊主か刈り上げ。
かと思うと、入学初日から新入生が学校裏や最寄りの駅で先輩からリンチされていたりして、これはとんでもないところに来てしまったぞ……と身がすくんだ。
二日目からは、山小屋に籠もってのオリエンテーション。男子だらけのむさくるしい合宿状態のなか、校風をみっちりとたたき込まれた。
だがいっぽうではやはり、同じ新入生とは思えない怖そうなやつらが、さっそくトイレで煙草を吸ったり、オリエンテーションをサボったりしていてね。
先行き不安に感じながらも、なんとかこの学校での三年間を切り抜けなければと、僕は独自の作戦を練って、ちょっと気の弱そうな、気の合いそうな連中を集めた。
僕は彼らにこう説明した。
「煙草を吸ったり威圧的な態度をしている連中は、反抗的な態度で社会や学校に反抗しようとしている。だが、騙されてはいけない。
やつらがやっている反抗は、彼らが考え出したオリジナルの反抗スタイルではない。先輩たちから何十年も受け継がれていることを模倣しているにすぎないんだ。
本当に反抗的な人間は、あんな短絡的な反抗はしない。反抗期という人間の摂理に反抗するやつこそが、この学園で主導権を……というのは無理でも、ひとつのムーブメントを起こすことができるだろう。さあ、一緒にやるか?」
数名が賛同してくれた。そして僕はすぐにバンドを結成した。
えっ? バンドをやりたかっただけじゃないかって? うーん、そうとも言えるかな。