迷ったときは自分史を振り返る
僕が「すかんち」というバンドでデビューしたのは、二十六歳のとき。なので、デビューしてからもう、まる二十一年が過ぎた。
これまで、順調なときもあれば、そうじゃないときもあった。目標を見失って、壁にぶつかったときもあったよ。
壁にぶつかったり、道に迷ったりしたとき、僕は自分史を振り返ることにしている。よく「過去を振り返るのはよくない」と言う人がいるけど、僕はそうは思わないんだ。
自分はどこの病院で、何グラムで生まれたのか。幼い頃は何に喜び、何に悲しんだのか。
家族との思い出、小学生のときにハマったアングラ映画、セミの抜け殻を見て感動したこと、ギターを弾けるようになった喜び、初めてコンサートをやったときの興奮、独自のコミューンを築いてわが道を進んだ高校時代のこと、プロ・デビューが決まった瞬間のこと。
そのときどきの自分は何を思っていたのか、何を栄養とし、どんな理想を描いていたのか──。