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『戦艦大和ノ最期』(吉田 満) 千葉雄次郎

『一冊の本』
[著]扇谷正造 [発行]PHP研究所


読了目安時間:11分
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 太平洋戦争開戦へき頭、帝国海軍が米英二大海軍国の艦隊に潰滅的打撃を与えた時、海軍のスポークスマン平出英夫大佐ははじめて「帝国海軍は無敵海軍だ」といい、これからは無敵海軍と書いてもいい、と新聞記者に語ったそうである。そのころ、こんなことがあったのを思い出す。私の親しい友人も連日の大本営発表に気をよくして「何しろ海軍は敗けたことがないのだからね」といったので、その数年前アナポリスの海軍兵学校を訪れた時、説明役の士官が「米海軍は創設以来敗けたことはない」と誇らしげに言っていたのが頭にあって、「アメリカ海軍も不敗の伝統を誇っているよ」といったら、その友人は不機嫌に黙ってしまった。戦前の教科書では、日本歴史の敗戦の記録などは一切書いてなかったから、国民は戦争はいつでも勝利に終るもののように思い慣らされていた。

 かつてワシントンに滞在中、駐在武官として知り合って以来、日本に帰ってからも親しくしていたS中将とは、日米関係が緊迫するにつれ何かと会う機会があったが、アメリカの資源、科学技術の水準が日本とは比較にならぬことをよく知っていた同中将は、陸軍が強引に米、英、オランダを相手に戦争を挑むような政策を強めて行くのを非常に心配して、こんな調子で進むと、行くところまで行きつくおそれがあるが「陸軍は東京湾にアメリカ艦隊が勢揃いするまで目が覚めないだろう」と日米戦争は、日本に勝味がないことを二人だけの席では聞かされていた。そうした海軍の良識派の人々の心配が戦争の日が経つにつれ現実となり、サイパンを失った時には、S中将の口から「打つ手なし」という言葉が出るようになった。サイパン失陥は昭和十九年七月七日のことだから『戦艦大和ノ最期』(北洋社発行)の著者吉田満氏が少尉として大和に乗り組む半年前のことである。この時以後本土はサイパンを基地とするB29の爆撃にさらされることになり日本海海戦後四十年目のこの年、比島沖の海戦で「世界史に例を見ない」といわれるほどの一方的敗北を喫することとなる。
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