ある冬の朝の「夢のメッセージ」
ある寒い冬の朝。パジャマにガウンをひっかけて、新聞を取りに行きました。郵便受けに手をかけ、新聞を取り出そうとした瞬間に、
「もしかしたら彼は、ずっと遠い昔にわかれた魂の片割れかもしれない」
という思いが湧き、不意に涙が出てきました。「彼」とは、当時知り合って一カ月半ほどしか経っていない夫のこと。共通の友人が見た夢がきっかけで紹介されたのですが、一目ぼれをしてしまったとか、すごく好きになったということではありませんでした。ただ、話していると自分の心と“肌合い”が合うといった印象があったのです。彼と私はまったく違う道を歩んできましたが、目指す場所は同じだという感もありました。
夢について触れておきましょう。夢は偶然の産物と認識している人は多いでしょう。夢は私たちの意識層のいちばん深い部分からの通信です。私たちの無意識の底には、“大いなるもの”とつながっている場所があります。大いなるものを神という人もいます。もしも、神という概念が受け入れ難ければ、「すべてをわかっているもうひとりの自分」と解釈するのもいいかもしれません。ですから、たとえ奇妙キテレツな夢であっても、自分への大切なメッセージが込められているのです。見た夢を味わって咀嚼してみると、自分にしかわからない何かが見えてくるのです。
私は三年間にわたりアートセラピーと夢のセラピーについて学びました。ですから、夢のメッセージの神秘的で合理的なメッセージ性について、十分に理解していました。まして、私と夫についての夢を見たのは、夢のセラピーの先生でした。人と人とを引き合わせるのは、無責任ではいられないことです。本当に引き合わせてもいいものか、ふたりが出会うことの深い意義を、先生は何度も夢に問いかけたといいます。そして、先生自身も確信を得て、私たちに話をしたのでした。それは、先生が最初に夢を見たときから三カ月ほど経った頃のことでした。
結ばれる人とは、赤い糸でつながっているという「赤い糸の伝説」や、“前世”でのご縁のある「ソウルメイト」という概念があります。このような考え方を信じるか信じないかは自由です。しかし、星の数ほどの人の中でめぐり会い、結ばれるという奇跡のような結びつきに、やはり何か深い意味を見出さずにはいられません。よく「ご縁」という言葉を聞きますが、まさに目に見えない何かの采配があるような気がするのです。
ソウルメイトと似ていますが「ツインソウル」という概念もあります。