男の子は泣いちゃいけないの?
涙について考え始めると、考察すべき事項が幾方向かに広がります。まず、男と女では泣き方に違いがあるかという点。その中でも、他人の前で泣けるか泣けないかというのは、涙の性質を知るうえで考慮することのひとつです。当然、人前で流す涙と、ひとりで秘かに泣く涙とは性質が違います。
泣くという行為について、女性はわりと解放されています。女性が感情的だといわれる所以です。男性は理論を司る左脳で考え、女性は想像力や感情を司る右脳で考えるともいわれています。大脳生理学の分野で、男と女は脳の使い方が違うという研究がなされていました。それを聞いたとき、男と女では、根本的などこかに理解しがたいものがあるのは仕方がないと、妙に納得したものです。
程度にもよりますが、他人の前で女性が泣くことがあっても、「違和感」という意味ではそれほど強いインパクトはないように思います。もちろん、女性がこれほど社会進出している時代では、責任ある立場にいる女性が人前で泣くということには、少しばかりの違和感が出てきました。田中真紀子元外相の涙は、女性といえども大きなインパクトを国民に与えたことは確かです。
しかし、たとえば上司に注意をされて女性社員が涙ぐんでも、それはなんとなく社会に受け入れられる(それも甘えた話ですが)。でも、もしもこれが男性社員だったらどうでしょうか。男性社員が、上司から注意を受けて涙ぐんでいたら? 明らかに女性社員のときの印象とは違うはずです。それに、泣く回数を調べてみると、圧倒的に女性のほうが多いでしょう。
他人の前で泣くという点で、男性は解放されていないのが現実です。