「泣くこと」に心を開こう
涙を止められずに泣きじゃくった子ども時代。転んでは泣き、怒られては泣き、悔しい、悲しい気持ちになっては泣く……。泣くということでしか表現できない感情がありました。私は今、娘を通してその感情を目の当たりにしています。「そんなことで泣いちゃうの!?」と聞きたくなるようなことで泣くのです。それも子どもの心の世界のすべてで、涙を誘発する何かがあるのでしょう。そんな“泣きたい気持ち”に素直になって、涙を止めることもなく泣いていた頃のことを、私たちはすっかり忘れています。
小学校一年生のときにひとり部屋になったのですが、私は新しい部屋でほとんど毎晩泣いていました。真っ暗な部屋で、私は両親が死ぬときや、妹が死ぬときのことを想像して泣いていました。現実の闇が、これから大人になっていく過程で対峙しなければならない心の闇を教えてくれていたのでしょうか。今にして思うと、そんな気がするのです。