すべてが終わったような気持ちでいたところ……
翌日、いつもと変わらぬ一日が始まった。
昨日のうちに、自らの集中力のなさが引き起こしたミスを店長に報告書として提出していた。大事には至らずにすんだこともあり、僕は報告書を提出したことで頭を切り替え、何事もなくすべてが終わったような気持ちでいた。
一昨日の夜から重なるように葬儀の依頼が入ってきており、担当者となった先輩たちは、慌ただしく事務所や倉庫を動き回り、担当葬儀の段取りに追われていた。僕はそれらを手伝い、見送ったあと、倉庫内の後片づけに精を出していた。次なる準備のためだ。
今朝の段取り準備に追われた慌ただしさが、ウソのように静まり返った倉庫の中で、僕はもくもくと倉庫内の整理整頓と在庫チェックをしていた。
そこに、入社してからずっと厳しくも温かく指導してくれていた藤田先輩が現れた。日焼けの名残がある浅黒い顔と少し微笑んだ口元から見える真っ白い歯がいつも爽やかだ。
藤田先輩は憧れの存在だ。この人みたいになりたい、そんな思いに駆られた僕は、大学に行くためのさしたる目的がなかったこともあり、進学するというレールをあっさりと自分の人生から消し去ったのだ。
それには、藤田先輩からの、