『30冊の本』
[著]山川紘矢
[著] 山川亜希子
[発行]PHP研究所
シャーリー・マクレーン/地湧社、角川文庫
初版:一九八六年三月
一九八三年、アメリカで一冊の画期的な本が発売されました。当時、ハリウッドで活躍していた女優、シャーリー・マクレーンが書いた『アウト・オン・ア・リム』です。女優として数々の映画に主演し、アカデミー賞主演女優賞候補に何度もノミネートされ、世界中を旅し、政治活動や社会活動にも積極的にかかわりを持ち続けていたシャーリーは、女優としてのキャリアの絶頂期にありました。すでに自分自身の生い立ちや世界中を旅した体験を記した本も二冊出版していました。
しかし、彼女の三冊目のこの本は、それまでの彼女のキャリアからは想像もつかない体験を記したものでした。ヨーロッパの政治家との恋愛をきっかけにして、彼女が未知の世界、目に見えない世界へと導かれてゆく体験をあからさまに描き出した本だったのです。なぜ、私はこの人と出会い、一目会った時から、訳もなくお互いに惹かれあい、恋愛関係になったのだろうかと、彼女は不思議に思い始めます。そしてそのなぜを追求するうちに出会ったのが、「私は何者なのか」「人はどこから来て、どこへ戻ってゆくのだろうか」「見えない世界は存在するのだろうか」「私たちは見えない世界からの導きを得ているのだろうか」「輪廻転生は本当なのだろうか」といった根源的な問題でした。
彼女はどんどん不思議な出会いを重ねて、ついにはペルーの山奥にある、とある鉱泉に導かれます。そこで体外離脱を体験し、宇宙からやってきた女性の話を聞き、そしてついに自分の運命を受け入れるに至ります。
こうした体験を生き生きとつづったこの本は、アメリカであっという間に三〇〇万部ものベストセラーになりました。有名な女優が書いた本です。シャーリーはテレビや新聞などで大きく取り上げられ、多くの人がこの本を手にしました。シャーリーが物語る魂の旅は、多くの人々を魅了しました。そうか、私たちは魂の存在だったのか、神の一部だったのか、人はずっと輪廻転生を繰り返しているのね、そして、私たちは目に見えない精霊からいろいろな学びを得ることができるのだ、などなど、この本にはまだ私たちが知らなかった目に見えない世界の事柄がいっぱい詰まっていたのです。