『人生に老後という名の時間はない』
[著]山崎武也
[発行]PHP研究所
人生の経験を積み、世の中の酸いも甘いもわかる年齢に達すると、胸がときめくことも少なくなってくる。
思い掛けなく嬉しいことが起こったときは、大いに喜ぶ。しかし、心が躍るという、強く刺激的な感動ではない。何となくではあるが、これまでの知識から、もしかしたらそうなるかもしれない、と期待していた素地がある。また、似たような場を経験したことがあるので、それほどに浮き浮きした気分ではない。
つまり、人生に慣れてきているので、未知のものが少なくなっている。それだけ、心の動きの振幅が大きくならない。よく言えば、より大人になり落ち着いてきたのであり、悪く言えば、人生に擦れてきたのである。