『人生に老後という名の時間はない』
[著]山崎武也
[発行]PHP研究所
私は高校時代も近くの町で下宿をしていたし、東京の大学に入ってからは、ずっと田舎を離れている。父が亡くなってから自分が死ぬまでの十年足らずの間も、母は田舎で独り暮らしを続けていた。幸いなことに、親しい従妹の家族が隣に住んでいたので、私たちもある程度は安心していることができた。
母が東京に来ることもあったが、たいがいは私たちが子供の学校が休みになる時期を利用して田舎に行っていた。母が亡くなる一年前ごろから近くに空港ができたので、母と私たちが会う機会も多少は多くなっていた。
私たちが母の許を訪れる度に驚いたのは、いつも家庭電化製品などの最新のものが増えていたことである。