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(2021/11/26 追記)

犬耳書店の作品をRenta!に順次移行します。
詳しくはこちらでご確認いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

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不可能を可能にする 視力再生の科学
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くらし
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はじめに

『不可能を可能にする 視力再生の科学』
[著]坪田一男 [発行]PHP研究所


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「もう本当に感動しています。老眼鏡が必要なくなりました。子どものころの目に戻ったようです。人生最高の経験かもしれません。年齢の感覚を変えてしまうほどの大きな意識改革です」

 新しい老眼の治療を受けられた松田陽子さん(第一章 老眼鏡がいらなくなる!? 体験談に紹介)は、はつらつとした笑顔でこう語ってくれた。

 また、都内在住の五十八歳の女性Sさんは、「メガネなしで近くのものまでよく見えるようになりました。とってもうれしいです。新しく恋もできそうな気持ちです!」とのこと。旦那様には申し訳ないけれども、このように言われると眼科医としてとてもうれしい。

 

 少し前までは、老眼になると「年ですね。老眼鏡をかけるしかないですね」と言わなくてはいけなかったが、こうやって治せる方法が開発されてきて、なんとも誇らしい気持ちだ。

 

 老眼だけではない。より快適に見るためのサイエンスは飛躍的に進歩している。

 僕には子供が五人いるが、そのうちの二人は目が悪かった。メガネやコンタクトレンズが必要だったのである。そこで、二十歳になったときにレーシックをプレゼントしてあげた。二人とも翌日には一・五の視力になって大喜び。子どもたちから感謝されて、尊敬のまなざしで見られたりして(たぶん)、父親としても大喜び。大満足。鼻高々。しかし、あまりにあっけなく治ってしまうからか、数ヶ月もすると完全に忘れ去られている。家族の会話の中でレーシックが話題になることはほとんどない。父親としては、たまには話題になってくれれば嬉しいのだが、二人とも手術したことをすっかり忘れてしまっているようだ。なんだか少し寂しいような気持ちでもある。

 

 こういった生活の質を高める治療が、眼科では近年たくさん開発されて、とても速いスピードで進歩している。患者さんの多くは、ネットで情報を得て僕たちのところにいらっしゃるが、残念なことに、これらの治療は誰もが知っているレベルにはまだまだ到達できていない。

 

 とくに最近、老眼に対するアプローチの技術革新は大きい。白内障手術のための遠近両用(多焦点)眼内レンズ、調節型眼内レンズや、角膜内にピンホールを作るアキュフォーカス・リングなど、素晴らしい技術が目白押しだ。昨年十二月に手術を受けられた六十歳代の女性は、なんと一回の手術で、白内障、高度近視、乱視、老眼の四つがいっぺんに治ってしまって大感動!(第五章 白内障治療最先端 体験談に紹介)最新の遠近両用眼内レンズでは、乱視も同時に治せるために、五年前には考えもよらなかった治療ができるようになってきたのだ。

 彼女の手術後の第一声は「生まれ変わったようです。初めてメガネなしで世の中を見ることができて本当に幸せです」だった。とても印象に残っている。近視、乱視、遠視に加えて老眼も安全な眼科医療で治る時代がやってきたのだ。

 これらの最新の治療について、この本で皆さんにお伝えしたいと思っている。

 

 近視、遠視、乱視、老眼を治す眼科手術は、生活の質(QOL)を向上させる新しい治療であるが、一方で失明を治療する最先端医療も大きく進歩している。角膜の再生医療がそのよい例だ。アルカリ外傷で失明した三十二歳の男性は、角膜が濁って視力が低下してしまった。そこで角膜上皮の幹細胞再生手術をおこなった。すでに術後、数年たっているが、手術は大成功で完全に社会復帰している。彼は僕にこんな言葉をくれた。「坪田先生が僕の可能性を拓いてくれました」。これにはジーンときた。最高にうれしい言葉を患者さんからいただいた。

 

 厚生労働省の幹細胞の使用に関する指針の改訂とともに、再生医療の規制が厳しくなったが、それでも慶應の眼科では二〇〇九年、眼科領域では日本で初めての承認を得た。その第一例目は、三十三歳の患者さん。角膜が濁ってしまい、再生医療が必要だったのである。再生医療のおかげで、角膜移植の手術は、以前よりも適応が広がり、より質の高い医療となった。再生医療技術によって目が見えるようになった患者さんたちが、すでにたくさん外来に定期検診にいらっしゃる。患者さんたちがそれぞれに元気に社会に復帰して生活をされている様子を見たり聞いたりすると、本当にうれしい。患者さんから元気や喜びをいただき、「よし、もっとがんばろう!」という気持ちになる。

 

 僕だけでなく、眼科医は皆、患者さんが「よく見えるようになりました!」と喜んでくれることが何よりうれしい。その治療法が劇的に進歩していることは、このうえない喜びである。ぜひ、読者の皆さんには、いまあるサイエンスを総動員して、快適な視力を実現していただきたいと思う。それは自分の力を最大限に生かすこととなり、生活の質を大きく高めてくれる。そしてそれはきっと、人生を豊かに広げてくれるだろう。

 

 本書『不可能を可能にする 視力再生の科学』では、この十年の眼科の進歩をしっかりと伝えられればと思っている。眼科の進歩によって、たくさんの人が「見える喜び」を実感されて、世の中の可能性が拓かれ、社会全体が元気になってくれたら、こんなにうれしいことはない。

眼科では老眼のことを老視といいますが、本書では一般の読者の方にわかりやすい「老眼」の表記を使用させていただきました。
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