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「ふれあい」と「つきあい」の心理学 人生が豊かになる生き方のヒント
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生き方・教養
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第6章 日常生活でどうふれあいをつくるか

『「ふれあい」と「つきあい」の心理学 人生が豊かになる生き方のヒント』
[著]國分久子 [発行]PHP研究所


読了目安時間:24分
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 私たちの日常生活は三つの領域に分けることができます。第一は家庭生活、第二は職場生活、第三は社交生活です。それぞれの領域でどうふれあうか、その原理と方法を考えたいと思います。


家庭生活でのふれあい



 ホテル家族ということばがあります。今の家庭は一人ひとりが個室をもっているので、むかしの家庭のように親子が川の字で寝たり、家族一同が団欒のひとときを過ごす機会が少なくなってきました。その結果、家族の心がばらばらでまとまりに欠けるようになったのです。それを小此木啓吾先生は「家庭なき家族の時代」とか「ホテル家族」と呼んだのです。


 しかし物理的にはホテル家族でも私たちの心がけ一つで、ふれあいのある家族にすることができるのではないかと私は考えるのです。


 学生たちと接していて気づくことは、年齢の割におちついた、愛想のよい、礼儀正しい、感情的にとり乱すことのない青年が多いことです。


 この人たちは幼少期からほんとうの気持を出せない生活環境の中に育ってきたということです。


 たとえば親が働いていて甘えや依存の対象にならなかったので、ほんとうなら「ママ、痛いよう……」と泣くときでも、ひとりで痛みに耐えて平気を装ってきたとか、父母が口やかましいので顔色をみてものを言う習慣が身についてしまい、ふと気づいたら人に見せる自分と、ほんとうの自分の二本立ての人生を歩んできたのでホンネを人に出すことができなくなったというのです。


 アメリカの心理療法家であるアリス・ミラーはいっているのですが、子どもの率直な自己表現が親の思いに反すると、親はそれを子どものわがままとして矯正しようとするというのです。その結果、子どもは自分の自然の気持にしたがうと親の愛を失うと悟り、自分の気持を抑圧してしまうのです。


 こういう子どもは第三者からみれば「よい子」と映ると思うのですが、実際は家庭なき家族の中に育ったようなものです。お互いに「頭が痛い」とか「お腹ペコペコ」とか「私のヘアー・ドライヤー使いっぱなしにして頭にくるな」とか「人には約束は守れよといいながら、お父さんはすぐ約束やぶるんだからいやになっちゃう」と言い合える雰囲気があれば、一人ひとりが個室住まいでも家庭がそこにあると考えてよいでしょう。


 では、ほんとうの気持で人間関係がもてる──ふれあえる──家庭生活をつくるにはどうすればよいのでしょうか。原理は三つあります。


職場と家庭を区別すること


 第一は職場と家庭を区別することです。つまり家にいるときも部長風を吹かせたり、教師ぶったりしないことです。たとえば英語の教師が家に帰って自分の子どもに「お前、こんな易しい問題もわからないのか」というのは、私の経験ではあまりよくないように思います。


 おかしな例かもしれませんが、私の夫は休養兼執筆のためホテルに泊りに行こうとしているとき、台所に立ってなにかしているのです。この忙しいときにと思ってよくみると、オールドパーのボトルからポケットウイスキーの空ビンにウイスキーを注入しているのです。「ホテルの冷蔵庫に酒類はいくらでもあるのに……ケチだなあ、お父さんは」と思う反面、こんなことをしている父親を見ている娘は、父を凡人と思うからのり越えやすくてよいのではと思ったりもするのです。


 あるブルーカラーの父をもつ学生は、父親を誇りに思い尊敬さえしております。それは家での父の立居振舞や子どもへの躾がきちんとしていて、ホワイトカラーの父親にひけをとらないからだというのです。


 要するに風通しのよい家庭をつくるには、各メンバーが家の外の役割を家庭にもち込まないことです。イメージとしては小学校のクラス会を連想してほしいのです。三十年ぶりにクラスメートに会うとそのなかには社長や教授や医者も来ています。しかし「先生!」とよぶ人は誰もいません。理髪店の旦那が教授をつかまえて「お前はむかしは泣き虫でどうしようもなかったなあ」と平気でいいます。そういう雰囲気というのは、お互いの役割をもち込まないから生まれるのです。


 ふれあいのある家庭──なんでも話せる雰囲気の家庭──とは、お互いにひとりの人間に戻れる集団であるということです。そのためには父母の見識が大切です。浪人中の次男もT大生の兄も同じように遇することです。

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