読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン

犬耳書店はRenta!へ統合いたします

(2021/9/29 UP)

犬耳書店は、姉妹店のRenta!(レンタ)へ統合いたします。
詳しくはこちらでご確認いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

0
-2
kiji
0
0
1270638
0
逆境をはね返す心理学 折れない心のつくり方
2
0
0
0
0
0
0
生き方・教養
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
第3章 苦しみから逃げてもラクにはなれない

『逆境をはね返す心理学 折れない心のつくり方』
[著]加藤諦三 [発行]PHP研究所


読了目安時間:26分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ


 ストレス耐性の違い

 

 セリグマンの著作に紹介されていた実験に次のようなものがある。

 一つは都会のストレスを複写してそのストレスにどれだけ耐えられるかを騒音で実験する。さまざまな音のまじりあった騒音を大学生に聞かせる。そして騒音が耐えられなくなったらボタンを押せば騒音を停止できるグループとそうでないグループに分ける。

 すると騒音が耐えられなくなったらボタンを押して停止できる人々の方が騒音を不快でなく感じるし、その間校正の仕事をよくできる(註15

 さらに次のような実験もある。暴行死体のカラー写真を被験者の学生に見せる。それがどの程度恐怖と不安を与えるかを皮膚の痙攣(けいれん)的な反応で見る。それをGSRという。

 ある学生はボタンを押せばそのカラー写真を見せられることを終わらせることができる。

 別の学生は数秒写真を見てくださいというように予測ができる。しかしそれを自分で止めさせるというコントロールはできない。

 別の学生は両方ともできない。

 そして実際には平均的に同じ時間を見るようにしておく。するとボタンを押せば写真を見ることを止められる学生が皮膚の痙攣反応が最も少なかった。つまり恐怖や不安が最も少ないということである(註16

 要するに実際にコントロールできるかできないかではなく、その人がコントロールできると思っているか、思っていないかでストレス耐性は違うということである。

 まず自分はこの事態をコントロールできると思うことが大切である。

 自分に対処能力があっても、自分は対処能力が「ない」と思えば実際になくなってしまう。

 自分が自分をどうイメージするかで、「実際の自分」は影響を受ける。

 

 逆境は一つの文化

 

 コバサによると、ハーディネスの高い人は、低い人に比べて病気に対する抵抗力がある。ストレスと病気との関係を修正することができる。

 次の調査は、ストレス関係の論文や本を読んでいると、いろいろなところで参照される調査であるが、コバサはシカゴ大学で八年にわたって、ビジネス・エグゼクティブの集団を対象に、会社経営に伴う通常の危機や混乱に直面したとき彼らがどう対処するかを調べた(註17

 そして、混乱を乗り切る間、最も健康であった人に一定の特徴的なパーソナリティーが見られることに気づいた。

 その一つは、何か困難にぶつかってもそれを脅威ではなくやりがいのある仕事とみなし、変化には気持ちの高揚とエネルギーをもって応えるという点である。

 うつ病の中に昇進うつ病とか、引っ越しうつ病とかいわれるものがある。昇進も引っ越しも大きな変化である。そこで昇進した結果、引っ越しした結果うつ病になる。

 うつ病になるような人は変化を恐れている人たちである。彼らは皆変化が怖かった。

 逆に逆境を元気で乗り切った経営者のように変化を喜ぶ人、変化に気持ちの高揚で応える人がいる。

 それは心に核がある人たちであろう。

 同じ変化を全く反対に認識する。

 私はある本を訳しているときに「困難はベストを尽くすチャンスである」という言葉に出合った(註18

 私はハーヴァード大学のワイドナー図書館に籠もったことがあった。そして約百年前の人物であるマーデンという作家に出会った。

 彼を単純に解釈すれば「丸太小屋から大統領へ」というアメリカン・ドリームを奨励する人である。

 彼があげている人物と、生きる意欲を失った今の時代の人々との違いは何なのだろうかと私は考えた。

 なぜ彼らはあそこまで頑張れたのかということである。

 それは今の人がなぜ簡単に燃え尽きてしまい、生きる意欲を失ってしまうのかという疑問の裏返しの問いでもあった。

 生きることに疲れた私たちと、それぞれの時代に驚く程のバイタリティーで困難と戦った彼らとはどこが違うのか? それを比較しながら考えていくとやはりいくつかのことが分かった気がする。

 マーデンはジャン・ジャック・ルソーについて次のように説明をしている。

 今から百五十年近く前、リオンで開かれたある晩餐会で、ギリシアの神話か歴史を題材にした絵画の解釈を巡って議論が持ち上がった。議論が白熱してきたのを見て、その家の主は給仕人の一人に向かって、その絵について説明するようにと言った。

 給仕人はその絵のテーマについて簡明に説明し、それが非常に分かりやすく説得力があったために、すぐに議論に決着がついた。その場に居合わせた人々はたいへん驚いた。
「どこの学校で勉強なさったのですか?」と客の一人が丁重に訊ねた。
「いろんな学校で学びました」と給仕人は答えた。そして「ですが、私が最も長く学び、最も得るところが多かったのは、逆境という学校です」と続けた。

 彼は貧困から多くのことを学んでいた。

 逆境は変装をした先生である。
この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:10952文字/本文:12912文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次