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バツイチなんて言わせない
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ルポ・エッセイ
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第二章 マルイチに必要な精神的自立

『バツイチなんて言わせない』
[著]中村久瑠美 [発行]PHP研究所


読了目安時間:32分
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 いよいよ離婚女性のQOLの中核である「マルイチになるための、精神的自立とは何か」について、お話ししよう。

離婚原因別に離婚後の精神生活を探る


 離婚後の女性の精神生活が、安定していて幸せであるかどうか、私はいつも気にかけてきた。医者が治療した患者の予後が気にかかるのと同様に、弁護士も依頼を受けた女性たちが離婚成立後、落ち込んだり、うつ状態になっていないかどうか、元気に暮らしているかどうか、つい心配してしまう。とくに私は立場上、彼女たちがどういう事情で離婚になったか、十分把握しているだけに、それぞれの離婚原因が離婚後にどう影響するのかが気にかかって仕方がない。もちろん個人個人の環境や性格にもよるが、離婚した原因によってもその後の精神状態に違いがあるのではないか。とくに女性にとっては、どういう事情で離婚にいたったか──つまり「離婚の原因」と、その後の精神生活とで相関関係があるように思われる。それは一人ひとりのQOLを考えるうえで重要なファクターになるはずだ。

 このように離婚原因別にその後のQOLを調査する試みは、おそらくこれまで存在しなかったであろう。そもそも「離婚とQOL」を考える試み自体、何しろ本書が本邦初なのである。それをさらに詳しく離婚原因(ヽヽ)別に、その後の離婚女性の心情や精神状況を追跡する企画は、私たちマルイチ会が行なった「離婚とQOLアンケート」が初めてのことだと思う。

 アンケート結果に表れた離婚原因のトップは、やはり不倫、浮気(二八%)、次いで性格の不一致(一九%)、モラハラやDV(一八%)、金銭問題(一〇%)、そして家族との折り合い(六%)などとなった。

 そこで、離婚原因別に離婚後の精神生活を探ってみることにする。

夫の不貞や女性問題が原因の離婚では


 夫の浮気は、愛情の濃い妻、大恋愛で結ばれいまなお愛していると思っている妻にとっては、まことに(つら)く悲しいものだ。失恋の痛み以上に傷つけられる。「女としての自分に魅力がなくなったのだろうか。よその女に心を奪われるなんて、彼も彼よ。(くや)しい。情けない。早く帰ってきて!」と叫び出したくなる。


 夫への思い入れが強ければ強いほど、裏切られたショックは大きく、立ち直るには時間がかかる。「夫が悪いんじゃないわ。誘惑に引っかかっただけよ。相手の女さえ手を引いてくれれば、絶対元に戻るはず」。悪いのは女、憎いのも女、夫は被害者だから私は夫を許す……といった調子で、しばらくは離婚を認めようとはしない。そして長い長い別居に入ることもある。夫も気を取り直して帰ってくればいいが、すでに心は新しい女のもとに行ってしまって、自ら不貞をしたことは(たな)に上げて、「妻はだらしがない」だの「気が利かなくて、家庭生活はすでに破綻している」などと言って、離婚を迫ってくる。

 妻としては、何が何だか分からない。自分はべつに悪いことはしていないし、夫もいままで家庭を捨てるそぶりなど見せたことはなかった。何でにわかに「別れ話」に応じなくてはいけないのだろう、と運命を嘆き、なかなか前向きな決断が下せない。

 いろいろな人に相談してみても、「一時の浮気でしょうから、もう少しお待ちになってみたら」などと言われて、月日ばかりが流れていく。

 いつまでも結論を出せないでいれば、夫は業を煮やして家を出る。別居が始まる。なかには兵糧攻めで、生活費を断って「早く離婚に応じろ」と、理不尽な態度に出る夫までいる。

 こういうパターンは珍しいことではなく、私の事務所を訪ねてこられる相談者のなかでも相当数に上る。

 こういう場合、私は「あなたは悪くない、焦ることはない。でも、いつまでもこのままであなたの人生はいいのですか? もう一度、彼とやり直せる見通しが立たないのなら、新しい道も考えてみませんか?」というところから話を進めていく。
「悔しい。なぜ私が他の女に夫を渡さなくてはならないの?」。意地もある。まったく理不尽と言わざるを得ない(やから)もいる。夫は若いあいだは仕事もなく、妻がパートで働いて、苦労して生活を支えたのに、夫は仕事に成功したと思ったとたんに浮気に走り、ついに糟糠(そうこう)の妻を捨てた、という図式の離婚もある。その悔しさ、口惜しさは同情にあまりある。意地でも籍を抜かず、夫と新しい女との人生を妨害してやりたいという気持ちも分かる。

 しかし、妨害行為に生き甲斐を見出し、絶対に別れてやらないと意地を通し、一生をかけて戦うことが、はたしてあなたの人生にとってよいのだろうか。それで本人のQOLは上がるのだろうか。

発想を変えてQOLをアップさせよう!


 A子さんは夫と別居して二十年。夫のA氏は家を出たきり、よその女B子と同棲しており、二人のあいだには子どもも生まれて、事実上の家庭は完全にそちらに移してしまった。そんな夫A氏がある日、交通事故で突然死亡した。事故は相手方車両の運転手の居眠り運転が原因だったため、自動車損害賠償保険が下りたが、受取人は妻のA子さんではなくて、事実上の妻であるB子となった。勤務していた会社から死亡退職金が二〇〇〇万円出たというが、その受取人は事実上A氏の収入に依拠して生活していたB子と十七歳の子ども。A子さんは戸籍上の妻であるのに、遺族年金さえ受け取れないと言われて愕然となった。

 A子さんが手にできるのは夫の遺産だけ。遺産としてはA子さんの住む自宅のほかにはなく、B子と子どもが住む家は、なんとB子名義になっていた。

 B子の子どもは夫が認知をしていたので、遺産の一部は認知子(にんちし)(非嫡出子)にも渡す必要がある。A子さんの住む家が亡夫の唯一の遺産であったため、子のないA子さんの法律上の相続分は四分の三、認知子は四分の一である。
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