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バツイチなんて言わせない
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ルポ・エッセイ
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結語──あとがきとして

『バツイチなんて言わせない』
[著]中村久瑠美 [発行]PHP研究所


読了目安時間:20分
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 離婚は男女を問わず、その人の人生を左右する。とくに家庭の主婦であり、仕事をもたなかった女性には、離婚後の人生をどう生きるのか、明日からどうやって食べていくか、職は見つかるか、子どもを引き取ったもののどうやって育てていくのか、住む家の確保はどうしよう──と難しい問題に直面する。

 そうした死活問題を抱えた女性たちを、これまで数多く見つづけてきた弁護士である私は、離婚女性とQOLを生涯のテーマとして取り組み、そのQOLの向上に生涯を捧げることこそ私の使命ではないのかと思うにいたった。

 それにはそれ相応の理由があった。いまからおよそ四十年前の二十代半ばで、専業主婦からいきなり離婚という事態におちいり、まだ生後四カ月の幼児を抱えて弁護士試験を志し、右手に六法全書、左手に哺乳瓶をもちながら勉強し、悪戦苦闘の末に弁護士となった。以来三十数年間、初めは離婚を専門にするつもりもなかったのだが、いつしか人伝(ひとづて)に「離婚ならば久瑠美先生」という合言葉のようなものが密かに伝播(でんぱ)して、気づいてみたら手がけた離婚事件は一〇〇〇件を軽く超えていた。その段階で、私にしかできないことは何かないだろうか、離婚という共通の体験をした人たちを糸で結んで、情報交換や生活の知恵を共有して生活をサポートして、みんなのQOL向上に繋げられないだろうか、と考えるにいたった。そういう集まりをつくり、活動することができたなら、それこそ私の使命(ミッション)ではないか、と思ったからであった。

離別は死別よりきついのか


 シングルライフのなかでも、死別と離別ではかなり意味合いが異なる。死別の辛さ苦しさも経験者でなくては分からないだろうが、最終的には「死は逃れられない」「亡くなった人は戻らない」「どうしようもないことだったね」という静かな受容が、自分にも周囲にも備わってくる。周囲の人も(なぐさ)めやすく、本人への同情も集まりやすい。

 しかし、離別によってシングルに戻った場合は、周囲からのそうした温かさや同情が少ない。ある意味で選択の余地のあったものを、あえて自ら選んだのだろう、という認識が温かさを阻んでしまう。「あなたの勝手で離婚したのでしょ」「自由意思、自己責任じゃないの」という突き放した冷たい視線が飛んできがちである。温かく同情されたり、慰められたりすることが少ない。「離婚は相手だけが一〇〇%悪いということはなくて、どっちもどっち。フィフティ・フィフティの場合が多いですよ」と、わけ知り顔で評定する人さえいて、離婚経験者はここでまた傷つくのである。

QOLの第一歩は「離婚しました」の挨拶


 こういう厳しい無理解のため、離婚経験者のなかには自分が離婚したことを世間に黙っていたい、隠していたいという人がいる。私の主宰するマルイチ会の会員でも、「この会では自分が離婚したことをはっきり言えるからいいんです。近所や職場ではまだ離婚したことは内緒にしています。いつかは言わなくてはと思っても、なかなか言い出せなくて」と真情を吐露される人もいる。すると、「バカね。どうして隠したいの? ウチの亭主はダメ亭主だったので、さっさと別れました、って堂々と言っちゃえばいいでしょ!」と、威勢のよい先輩会員が元気づけしてくれる。そこでにっこりして、「そうですね。これからそう言います」と、気持ちの入れ替えに成功する人もいる。なかには「そうは言っても……」となかなか割り切れずに悩む会員もいる。

 結局のところ、「離婚後の人生」への姿勢がはっきりつかめていない人は、世間体や他人の目が気になって前に進めない。
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