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いま、拠って立つべき“日本の精神” 武士道
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生き方・教養
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第七章 誠 ―― 武士道に二言がない理由

『いま、拠って立つべき“日本の精神” 武士道』
[著]新渡戸稲造 [訳]岬龍一郎 [発行]PHP研究所


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◆武士の約束に証文はいらない

 真実と誠実がなければ、礼は茶番であり芝居である。伊達政宗は「度が過ぎた礼は(へつら)いとなる」という。あるいは菅原道真の戒めた「心だに誠の道にかないなば、祈らずとても神や守らん」の道歌は、ボローニアス(『ハムレット』の登場人物)をしのいでいる。

 孔子は『中庸』において誠を尊び、これに超越的な力をあたえて、ほとんど神と同一視した。いわく「誠は物の終始なり、誠ならざれば物なし」と。孔子が熱心に説くところによれば、誠は遠大にして不朽であり、動かずして変化をつくり、それを示すだけで目的を遂げる性質を持っているという。「言」と「成」からできている誠の文字を見ると、新プラトン学派のロゴスの説と比較してみたくなる。このような高さまで、孔子は非凡な神秘的能力で到達したのである。

 嘘をついたり、ごまかしたりすることは、卑怯者とみなされた。武士は支配者階級にあるだけに、誠であるかどうかの基準を、商人や農民よりも厳しく求められた。「武士の一言」すなわちサムライの言葉は、ドイツ語の「リッターヴォルト(Ritterwort)」に当たるが、それはその言葉が真実であることを保証した。

 それほどの重みをもった言葉であるだけに、武士の約束は通常、証文なしに決められ、実行された。むしろ証文を書くことは武士の面子(メンツ)(けが)されることであった。
「二言」、つまり嘘をついたという二枚舌のために、死をもってあがなった壮絶な逸話が日本では多く語られている。

 本物の武士は「誠」を命より重く見ていたので、誓いを立てるだけでも名誉を傷つけるものと考えていた。その点では、一般のキリスト教徒が彼らの主の「誓うことなかれ」という明白な教えを、絶えず破っているのとは大いに違う。
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