読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン

犬耳書店はRenta!へ統合いたします

(2021/9/29 UP)

犬耳書店は、姉妹店のRenta!(レンタ)へ統合いたします。
詳しくはこちらでご確認いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

0
-2
kiji
0
0
1271134
0
いま、拠って立つべき“日本の精神” 武士道
2
0
0
0
0
0
0
生き方・教養
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
第十七章 武士道が日本人に遺したもの

『いま、拠って立つべき“日本の精神” 武士道』
[著]新渡戸稲造 [訳]岬龍一郎 [発行]PHP研究所


読了目安時間:11分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ

◆武士道は消えゆくのか

 ヨーロッパの騎士道と日本の武士道ほど、歴史的にきちんと比較できるものは極めて希である。歴史が繰り返されるならば、間違いなく武士道は騎士道と同じ運命をたどるだろう。騎士道の衰退の原因である、サント・バレー(フランスの言語学者)が述べたような、特殊な、かつ地域的な理由は、もちろん日本の現状にはほとんど当てはまらないが、中世およびその後の、騎士と騎士道を衰退させた原因より、もっと大きくて一般的なことが日本の武士道にも着実に作用しているといわなければならない。

 ヨーロッパと日本の場合の際だった違いは、次の点にある。騎士道は封建制から離れたのち、キリスト教会に引き取られて、新たな余命をあたえられた。だが、日本の武士道にはそのような庇護(ひご)する大きな宗教がなかったことである。そのため母胎の封建制が崩壊すると、武士道は孤児として残され、自力で生きなければならないだろう。

 ある人は言うかも知れない。現代のよく整った軍事組織が武士道をその庇護下にしているではないかと。しかし周知のように、現代の戦争は武士道が成長し続ける条件を満たしてくれないことは明らかである。武士道の幼年期を育成した神道は、それ自体が老朽化してしまったし、武士道の理論を裏付けした古代中国の白髪の賢人たちもまた、ベンサム(英国の法学者)やミル(英国の哲学者)といった知的新参者に取って代わられている。彼らは時代の好戦的、あるいは排外主義的な傾向に迎合することによって今日の要求によく適合し、それゆえの快楽主義的な道徳論が提供されている。とはいえ、それらはまだ通俗ジャーナリズムのコラムで騒いでいる程度にすぎないが。

 一方では、さまざまな支配権力や権威が武士道に対抗すべく牙をむいている。ヴェブレンが述べるように、「労働者階級の間における儀礼的規範の衰退、いいかえれば生活の通俗化は、繊細な感受性をもった人々の目からみれば、文明の末期的状況」の一つである。
この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:4526文字/本文:5349文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次