読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン
0
-1
kiji
0
1
1271238
0
ケーススタディで学ぶ 「コーチング」に強くなる本 現代の上司に必須のコミュニケーションスキル
2
0
0
0
0
0
0
ビジネス
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
プロローグ

『ケーススタディで学ぶ 「コーチング」に強くなる本 現代の上司に必須のコミュニケーションスキル』
[著]本間正人 [発行]PHP研究所


読了目安時間:6分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ

― コーチングとは ―

風間 「親父さん、生ビールね」
主人 「はいよ。風間さん、今日はお疲れのようですね」
風間 「忙しいのはいつものことだけど、今週はちょっときつかったなぁ。飲みに行かなくても、ほとんど毎日、午前さまだったよ。親父さんのところに顔を出すのも一週間ぶりだね」
主人 「大変ですねぇ。はい、生一丁」
風間 「親父さんは、元気だなぁ」
主人 「いや、実は秘訣があるんですよ」
風間 「なに? 教えてよ」
主人 「私、先月からコーチを雇ってるんですよ」
風間 「えっ、コーチ?」
主人 「ええ、お客さんからの紹介なんですけどね。プロのコーチに電話で週に一回三十分、いろんな相談に乗ってもらってるんです。この店もそろそろ(いた)んできているんで改装しなきゃいけないし、その間の仮店舗をどうするか、どんなコンセプトで新しい店をつくるのかとかね。いろいろ考えていることがあるんですよ」
風間 「コーチっていうのは、内装のプロなんですか?」
主人 「いや、そうじゃないんですよ。私が雇っているコーチっていうのは、電話でいろいろな相談に乗っている人でね。私以外にも、医者とか、学校の先生とか、経営者とか、予備校生のコーチもしているって言ってましたよ」
風間 「えっ、そうすると、誰の相談にも乗っちゃうんだね」
主人 「で、ああしろこうしろっていうことは言わないんですよ」
風間 「じゃあ、何をするの?」
主人 「新しい店をつくるにあたって私がどういうふうにしたいのかというのを、いろんな形で質問をしてくるんですよね。コーチの質問に引っ張られて、自分でしゃべっているうちに、こうするといいなあっていうのが、自分の口からポロッと出てくるなんてこともありましてね。やっぱり、ひとりで抱え込んでいると、同じところをぐるぐる巡って、なかなか前に進みませんからね。話を聞いてもらうと、気持ちも楽になりますし」
風間 「へぇ、そんな仕事もあるんだ。俺も雇ってみようかな」
主人 「それはいいと思いますよ。やっぱり、自分の部下や上司に相談できないこともあるし、家族にもこいつにもできない話だって、あるじゃないですか」
奥さん 「どういう話よ?」
主人 「友だちだと友情にヒビが入らないように、どうしても遠慮しますよね。でもコーチはその点、利害関係がないので、思ったこと、感じたことをはっきり言ってくれる」
風間 「カウンセリングみたいだね」
主人 「私はカウンセリングを受けたことはないですけど、似たようなものじゃないですか。ただ、もっとこれからどうすればいいのかって展望をはっきりさせるのに、いいみたいですよ」
風間 「ふーん」
主人 「例えば、風間さんが今一番解決したい問題って何ですか?」
風間 「そうねぇ……。時間かなぁ、とにかく時間がないよね」
主人 「コーチだったらこう聞きますね。今は何に何時間使っているか、表かグラフをつくってみましょう、って」
風間 「なるほど」
主人 「で、どの部分が減らせるのか、優先順位をどうつけるか、って言ってきますよ」
風間 「そうだよね。俺も本社で課長をしていたときは、部下に仕事に優先順位をつけて時間を配分しろって、口をすっぱくして言っていたものだった。でもひとりでやってると、なかなかそういうことを振り返る暇がなくてね」
主人 「そうですよね。で、風間さんだったら、どこから時間を減らせると思います?」
風間 「そうだねぇ。支社にいると、会議の時間はあまりなくて、お客さまを回る時間が、日中のかなりの時間を占めているよね。その間に留守電やEメールがきているので、たまった仕事を夕方からこなすっていうパターンになってるな」
主人 「そうなんですか」
風間 「そんな部下がいたら、俺だったらお客さまのところに回る前に、朝、業務の段取りをつけて、早朝の時間を活用するようにアドバイスするだろうな。夜、外回りから帰って、疲れてから事務作業をすると、どうしても効率が落ちるからね」
主人 「ほら、風間さん。自分で解決策を話してるじゃないですか。コーチングってそういうもんなんですよ。私はコーチングの勉強をきっちりやったことはないですけど、コーチングを受けていると、見よう見まねで要領がつかめてくるもんですよ」
風間 「そうかぁ。じゃあ、親父さんにコーチングされちまったわけだ」
主人 「いえいえ」
風間 「でも、コーチを雇ってみるのもいいかもしれないな。まずはさっそく、明日早めに会社に行ってみようかな」
主人 「そうですね」
風間 「じゃあ、ごちそうさま」
主人 「えっ、もうお帰りですか?」
風間 「明日、早めに出社するからね」
主人 「いやあ、よけいなこと言っちゃったかな……」


      


 現在、企業や自治体などの管理職は、部下の指導・育成に関して多くの悩みを抱えています。「若い部下と話があわない」「何を聞いても答えらしい答えが返ってこない」といった悩みもあれば、「やる気のないベテラン社員の動機づけに苦労している」、また「マンネリに陥っている部下になんとか新鮮な気持ちを呼び起こさせたい」などの声も、よく耳にします。

 これから学習していく“コーチング”は、お互いの信頼関係を築き、人間らしい上司として、部下のやる気を引き出し、問題解決をサポートしていくためのコミュニケーション・スキルです。

 コーチングは「人間の個性を尊重し、伸ばしていく」という発想に基づいています。そして、相手に一方的に目標を与えたり、問題解決の方法を命令したりするのではなく、主として質問をすることにより相手から答えを引き出そうとします。上司が、コーチとしてサポート役に徹することで、部下自身が気づいていなかった潜在能力が引き出されることもあるのです。

 コーチングと似た言葉にカウンセリングがあります。聴く力が大切で、質問によって相手から答えを引き出すという共通点はありますが、カウンセリングが「過去に向かってWHY」という発想であるのに対して、コーチングは「未来に向かってHOW」というところに力点があります。

 コーチングの考えをもって部下と接していけば、部下との関わり方や信頼感、そして職場の雰囲気が改善され、仕事の成功や業績の向上にもつながっていくでしょう。

 本書では、状況などの異なるいくつかのケースがシナリオ仕立てになっていて、上司と部下が会話するかたちを取っています。ぜひ、あなた自身がこれらのシナリオの登場人物になったつもりで、読んでみてください。そしてあなたが上司だったら、部下だったらどうするか、考えてみてください。

 また、ケースを読むだけでも、コーチングの雰囲気を感じていただけると思いますが、解説やポイントを確認しながら、部下指導のレパートリーを広げ、あなた自身のコーチング・スタイルを見つけ出すヒントにしてください。

 あなたの人生の主人公はあなた自身。コーチングを有力な武器にして、大きな可能性を拓いていただきたいと思います。

本間 正人


(注)本書の登場人物・企業名などはすべて架空のもので、実在のものとは一切関係ありません。
この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:0文字/本文:2888文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次