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「いま」を10倍愉しむ思考法則 ビジネス・人間関係に役立つヒント
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生き方・教養
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43 勤勉で優秀な人こそスキ間をつくれ

『「いま」を10倍愉しむ思考法則 ビジネス・人間関係に役立つヒント』
[著]川北義則 [発行]PHP研究所


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 とてつもなく有能でテキパキしていて、一分のスキもないような人物がときどきいる。そういう人物に出会うと一種の爽快感がある。カッコいいとさえ思う。だが、そういう感情は長続きしない。そのうち窮屈でうんざり、疲れてくる。

 なぜかと考えると、心のスキ間というものがないからだ。だからこちらを不快にするわけでもないのに、酸素不足のように息苦しくなってくる。エリートと呼ばれる人種に多い。エリートに自殺が多いのは、たえずキリキリ生きていて人生があまり愉しくないから、何か一つのことで挫折すると方向転換できず追いつめられてしまうのではないか。人生そんなにがんばって生きなくてもいいと思うのだが、彼らにはそれができないのである。

 エリートのキリキリとは違うが、戦前にこういう人がいた。その人は理科の先生で非常に合理的な考え方をする人。たとえば通勤用に乗ってくる自転車のタイヤの空気を毎回抜いたという。チューブの酸化を少しでも防ごうとしたからである。

 その先生は肉を買うときは学校の電話で複数の肉屋に値段を聞き、いちばん安い肉屋に発注した。教頭に推薦されたときは、それによって予想される交際費の増加と手当を天秤にかけて固辞したという。そうやって定年を待たずに家の二、三軒も買えるだけの金を貯めた。

 だがある日、燃料の(まき)を自転車に積んで走行中に、気を失って倒れ、そのまま亡くなった。死因はつまびらかではないが、栄養失調だったらしい。この先生には他にもいっぱいエピソードはあるのだが、こういう人の人生にはスキ間というものがほとんどない。

 すべてが合理的で目的達成型の典型である。どういう人生を選ぼうと個人の勝手だが、こういう人物と一緒に暮らすことになったらたまらないだろう。スキ間のない生き方をする人間はおおむね勤勉で優秀である。ふつうの意味で非難するところがほとんどない。しかしその生き方から受ける印象は索漠(さくばく)としたものである。

 人間はいい加減なもので、してはいけないとわかっていても、時には約束を破ったり、怠けたり、嘘をついたり、浪費したりする。そんな部分をほとんどの人間が持っている。あの二宮金次郎だってとんでもない浪費をしたり、カッとして仕事を放り出し雲がくれしたことがある。凡人のわれわれはスキ間だらけの人間である。

 作詞家のなかにし礼さんが歌謡曲の詞と小説の文章を比較して「歌謡曲の詞はスキ間をたくさんつくっておくのがコツ」といっているのを知って、「なるほど」と思った。感動のある人生はやっぱりスキ間だらけなのだ。
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