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現実はいつも対話から生まれる
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人文・科学
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監訳者まえがき

『現実はいつも対話から生まれる』
[著]ケネス・J・ガーゲン [著] メアリー・ガーゲン [著] 伊藤守 [著] 二宮美樹 [発行]ディスカヴァー・トゥエンティワン


読了目安時間:2分
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本書は2004年にアメリカで初版が出版された Social Construction:Entering the Dialogue(社会構成:対話に入るということ)を翻訳したものです。

著者のケネス・J・ガーゲンとメアリー・ガーゲン夫妻は共に心理学者で、社会構成主義の研究に多大な貢献をしてきました。


 

社会構成主義はもともとデュルケームなどにより、社会学の考え方として生まれたものです。「現実」はそれとして存在するのではなく、人々の頭の中で作り上げられるという考え方でした。

フランスを中心とするポスト構造主義あるいはポストモダニズムと呼ばれる思想の潮流の中で社会構成主義は発展し、デリダは社会の中に本質的な実在は存在しないとまで主張しました。


 

これに対しケネス・ガーゲンは、社会構成主義の考えは社会のすべてが幻想だとか実存が存在しないということではないと主張し、人は対話(ダイヤローグ)を通して意味をつくっていくのであり、「言葉が世界を創造する」と述べて社会構成主義に新しい価値を与えました。

ガーゲンは心理学者として、「治療者」と「患者」という固定した役割のもとにセラピーが行われ、治療者の頭の中にある「正常な」状態へ患者を導くのではなく、対話を通して二人の間に新たな現実を創り出すことを提唱しました。

私はコーチングを専門としていますが、この分野でも長い間「コーチ」が「クライアント」からアイデアを「引き出す」という捉え方がされていましたので、ガーゲンの考え方は非常に新鮮で、大きな影響を受けました。現在はコーチとクライアントが対話を通して新たな現実を創造するという方向にシフトしています。


 

社会構成主義は心理療法だけでなく、本書にも述べられているように教育、組織開発、社会調査、紛争解決などさまざまな分野で注目され、実践されています。

ガーゲンの主著の邦訳としては、『社会構成主義の理論と実践──関係性が現実をつくる』『あなたへの社会構成主義』(共にナカニシヤ出版)が出版されていますが、どちらも学術書の性格が強く、初めて社会構成主義に触れる読者には難解な面がありました。

本書はガーゲン夫妻が入門書として書いたもので、社会構成主義の基礎が簡潔に読みやすくまとめられています。本書によって社会構成主義に関心を持ち、それぞれの分野で対話の実践をする方が増えるならば嬉しく思います。


 

2018年 8月

伊藤 守

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