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第6章 ビッグデータが統計におけるコペルニクス的大革命を起こす

『ポップな経済学』
[著]ルチアーノ・カノーヴァ [翻訳]高沢亜砂代 [発行]ディスカヴァー・トゥエンティワン


読了目安時間:20分
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これまで紹介してきた事象にも増して、私たちの生活に強いインパクトを早々に与えるようになったもの、それがビッグデータだ。この言葉は、私たちの会話の中にもすっかり定着した。しかしながら新語の常として、言葉だけが制御不能な状態で飛び交い、間違っているとはいかないまでも、その意味は正しく理解されていないようだ。


 

ビッグデータとは要するに、何なのか?何が変わったのか?

 

かつてない膨大な量の情報と観測データが新しいタイプのデータベースに溢れ返っているというのがビッグデータのイメージだ。調査対象の集団からとるサンプルを基にしていたスモールデータ時代は終わり、コンピューターの情報処理能力と保存容量のいっそうの強化が求められるようになった。

もちろん部分的にはそのとおりなので、本章ではこのあと、そのへんのところを明らかにしていく。ただ、ビッグデータという現象を読み解くには、この解釈ではあまりにも不十分だ。真に革命的な特徴は、データの量ではなく(というか、量だけではなく)、データの構造なのだ。


 

これまで、統計の研究や分析をする人は、n×kの四角い表(nは分析対象の観測結果、kは変数)に表されるような整理されたデータセットに慣れていた。

ところが今、私たちの前にあるのは、デジタルデバイスや、そこらじゅうの機器に取り付けられたセンサーが、GPSによる位置情報とともに1/1000秒単位で収集した正確な点描画のような情報だ。

その分析と研究の可能性は、計り知れないほど増大した。無限なまでに豊かなデータセットなのだが、整った構造のないデータセットでもある。そこから何らかの規則性を導き出すには、数百万人のユーザーから同時に届くデータのインプットをリアルタイムで処理する能力とサーバーが必要である。


 

従来の方法で正確な統計調査をするには、対象となる集団を統計学的に代表するサンプルを抽出して行うため、n=N、すなわちサンプル数と集団全体は等しいことが望ましい。ただ現実には、サンプルの漏れやデータの不足はあり得ることで、それを考慮しなくてはならない。ビッグデータなら、その問題が解消される可能性がある。

この革命が始まって数年、ビッグデータを扱い、そして利用する能力は、人材市場で競争力を発揮する強みとなりつつあり、データサイエンティストという職業が生まれるまでになった。

データサイエンティストは単なる統計の専門家ではない。なぜなら、データ収集・収集したデータの保存・柔軟かつスピーディなデータ変換などのシステムのプログラミング能力がなくてはならないからだ。

データの分析によって得られた情報を図やグラフに表したり、パッと見てわかるポップな報告書にまとめたりするなど、一般大衆と大差ない理解レベルの会社の販売部門の人たちにも情報が利用できるようにする能力も必要だ。


 

今後、時とともに、新しい統計法の体系が急速に確立してくれば、プログラムのコーディングと数量分析全般に関する何らかの手法が大規模に普及することも考えられる。そうなれば、現状で技術者(ITエンジニアあるいはいわゆるコンピューターサイエンティスト)とそれ以外の人を隔てているスキルのギャップが縮小することも理屈としてはあり得る。


 

ビッグデータとともに知られるようになった言葉にデータフィケーションがある。これまでアナログなテクノロジーの領分だった、暮らしのさまざまな面を定量化することを意味する言葉だ。まだ始まったばかりだが、このために今後は新世代の教育と人材育成のプログラムにドラスティックな変更がもたらされるだろうし、すでにその兆しはある。

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