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お墓、どうしますか? 変容する家族のあり方
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政治・社会
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最終章 家族もお墓もいろいろあっていい

『お墓、どうしますか? 変容する家族のあり方』
[著]米澤結 [発行]ディスカヴァー・トゥエンティワン


読了目安時間:21分
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家族は「社会を構成する最小単位」という言い方をします。

社会の変化は、テクノロジーの進化、ファッションや流行語などの世相を通して語られることも多いのですが、最小の単位として身近すぎるからなのか、家族のあり方は普段、あまり意識されていないように感じます。

多くの人にとって、家族は「いつもそこにあるもの」であり、それは当然の感覚でしょう。となると「いつもそこにあるものが欠けたとき」が、家族のあり方、そこに潜む問題が顕在化し、意識されるきっかけになるのかもしれません。「いつもそこにあるものが欠けたとき」、つまり「家族の死」であり、そこから続く「弔い=墓」という葬送の流れです。

そこにいるのが当たり前だった家族の一人が、死によって欠ける。ぽっかり空いたすき間を、いろいろな意味で埋めるのが葬送の儀式、そして墓です。そんなふうに、日本人の葬送、墓に対する意識をまとめた本は、何人かの研究者が残しています。

逆に、「墓→家族の死→家族像」として見ることで、今まであまりない視点から「現代の家族像考察」ができるのではないか。そう考えたのが、本書に向き合う、私のそもそものきっかけでした。


 

父の死によって生じた家族の変化

 

ここで、私の体験を少しお話しさせていただきます。

私の父は7年前、60歳を目前にして亡くなりました。家族は専業主婦の母、私、4歳年下の弟、大型犬が3匹。父の生前、父と母の関係はお世辞にも良好とはいえないものでした。また私と父は、よくある父と娘の不仲がエスカレートした状態でした。

ある日、父から癌だと知らされたのですが、「初期だから治療できる」と本人は少し楽観視していました。ところが、1年も経たずに呆気なく他界してしまったのです。

亡くなった後、葬儀関係を取り仕切ったのは弟でした。「私も一緒にやる」と申し出たのですが、母と弟で対処する、と。最初は、仕事が忙しかった私に配慮してくれたのだと思ったのですが、その後、「長男や長男の嫁の立場を邪魔しないように」と、弟から言われました。

それまで、私の中では弟は「弟」であり、きっと母もそう思っていたはずです。その弟から、「長男」「長男の嫁」といった言葉が出てきたことにまず驚きました。

私の実家は、父親がサラリーマンだったため、誰が家を継ぐかという話もなく、現代的でさっぱりした、友達のような関係の家族だと思っていました。本人の結婚、そして父の死を経験したことで、弟の意識が少しずつ変わっていたのかもしれません。


 

父の死後、私と弟の関係がぎくしゃくしはじめたころ、以前は私と仲の良かった母が、何かにつけ弟を支持するようになりました。理由を尋ねると、「これから生きていくには、弟夫婦の世話になることもあるから、気を使っている」。

当時、私には婚約者がいましたが、まだ入籍はしていませんでした。母に「私を頼ってほしい」と言うと、「これからお嫁に行くあなたは、相手の家のことがあるから、こちらの家の面倒はみていられないでしょう」。

私は納得できません。すると母は「娘はいずれ嫁に行く。嫁はうちの子にあらず」と言ったのです。これには大きなショックを受け、母親ではなく別の家の人と話しているような感覚でした。

女性の社会進出が進み、生き方も多様化しているといわれています。しかし、母と同世代の女性には、「長男が親の面倒をみる」「娘は嫁に行き、よその家の家族になる」という考えに共感する人も多いのではないでしょうか。特に母は、転勤族の妻として、全国を転々として過ごし、運転免許はもちろん携帯電話も持っていません。メールはもちろんパソコンすら使えないのです。

夫婦仲が良くなかったとはいえ、夫を失い、専業主婦として家族を支えながら、一方で家族に頼って生きてきた母は、父の死後、「この先どうしていいのかわからない」状態だったのでしょう。不安に襲われ、長男を頼るしか想像できなかったのだ、と今は理解することもできますが、当時は私も冷静ではいられませんでした。

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