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(2021/11/26 追記)

犬耳書店の作品をRenta!に順次移行します。
詳しくはこちらでご確認いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

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孤独を貫け
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ルポ・エッセイ
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はじめに

『孤独を貫け』
[著]小林よしのり [著] 清水克衛 [発行]イースト・プレス


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― この本が「思想の深化」の第一歩となる ―


()(みず)(かつ)(よし)



 突然ですが、しょっぱなから昔々のある男のお話をさせてください。



 あるところに合理的な男がいました。


 その男は、「無駄な時間を省きたい」「合理的に一刻も早く成功したい」と、そればかりを考えながら日々を過ごしていました。


 ある朝、男が家を出て駅に向かって歩いていると、急にウンチがしたくなりました。「困ったな……」とは思ったものの、駅まで行くか、自宅に戻らなければトイレはありません。駅までしばらくかかるし、自宅に戻る時間はもったいない。


 あれこれ考えるうちに、ウンチが顔を出しそうになってくる。そこで、「近くの草むらで野ぐそをしちゃえ!」と思いました。


 その草むらは広く、草は背が高くて、男がしゃがむとちょうど体が隠れるくらいでした。「これはいい(あん)(ばい)だ!」と、男は人目に隠れてウンチをしだしました。


 そのとき、ふっと時計を見たら、ちょうど昼飯どき。ウンチをするのに時間を取られたうえ、昼飯を食べるのに、さらに時間を取られるのはもったいない。


 そう思った男は、「そうだ! ウンチをしながら昼飯も食べちゃえば、一石二鳥じゃん! なんて合理的なんだ」と思いつきました。そこで、カバンの中からおにぎりを取り出し、ウンチをしながら一口食べました。


 するとあろうことか、つる~っと手からおにぎりがすべって、ウンチの上にぽとりと落ちてしまいました。


 びっくりした男は、しばらくじっと見つめていましたが、こう言いました。

「これはすごい時間の節約になった。これはすごい近道だ」



 以上、拙著『商売はノウハウよりも「人情力」』(現代書林)より。


 どうですか、みなさん。笑えるお話ですね。


 しかし、これが最近、どうも笑えない世の中になってはいないでしょうか。


 当たり前のことですが、食べ物は良く噛んで、飲み込んで、内臓を通るうちに私たちの体のエネルギーとなって、はじめて力へと変化します。幼稚園の先生も、よくそうおっしゃっていましたよね。


 ()(しゃく)することが大事なのです。現代の世の中は、効率ばかり優先されて、「そもそも、何で“それ”をするのか?」と考えもせず、咀嚼が面倒だから素通りでいい、余計なことを考えるのは効率的ではないと、そんな考え方がまかり通っています。


 それでは、ますます人の頭は幼稚になるばかりです。子供の頃、幼稚園の先生に口を酸っぱくして言っていただいたことが、忘れられてしまっています。


 物事が簡単・便利になればなるほど、人は頭を使わなくて済んでしまいます。


 そんな皮肉なパラドックスが起きているのが、現代なのでしょう。



 最近、私の店に来られるお若い方にこんな質問をしています。

「特攻隊と9・11のテロリストとの違いは、なんだと思う?」


 さて、この質問をすると、ほんとんどの方は「ん~」と言って(うな)ります。パッと答えられないのです。


 まあ、そんなことを言う私ですが、実は偉そうなことは言えません。私も戦後教育をどっぷりと受けてきた一人で、本を読んでいくうちにその違いをやっと理解できた、()()日本人だったのですから。


 最近は、「特攻隊は日本の恥だ」という若者がいると聞きました。なんと恐ろしいことなのでしょう。きっとそういう若者は、自分の頭で考え、咀嚼してモノを考える習慣を失っているのでしょう。少し学べば、明確にわかることだと思うのですが……。


 それと、最近もう一つ怖いことがあります。「この本、難しくないですかね?」と、本をパラパラとしながら、ざっと見で私に尋ねてこられる方が多いのです。


 そんなとき、いつもこうお答えするようにしています。

「パラパラっと見て、簡単そうだ、理解しやすそうだと自分で思うような本の内容は、すでにもう自分が理解していることなのではないですか。パラパラッとページをめくって、何だか難しそうだと思うような本にこそ、自分の思考を超えた、新たに得られるかもしれない知恵が書いてあるはずですよ。だから、ちょっと難しそうだなと感じる本を読んだほうが、ずっとお得なはずです」

「本は心の栄養」という言葉があります。しかし、その栄養を自分の力に変えようとしたところで、簡単だと感じる本ばかり読んでいては、ウンチの上におにぎりを落とすようなものです。これでは、心の栄養失調になるでしょう。


 栄養失調ならまだ回復する見込みはありますが、これが過ぎると心はカサカサに干からびて、そのうち(なき)(がら)となってしまいます。とても恐ろしいことですね。


 少し難しそうだと感じるような本は、しっかりと咀嚼しながら読まなければならないし、自分自身の孤独な世界に入り込まなければ、心の栄養としては働きません。読書とは、孤独になる行動でもあるのです。



 (とう)(やま)(みつる)という、明治から昭和にかけて活躍した思想家がいます。ぜひ、多くの方に知っていただきたい人物です。詳しくは、小林よしのりさんの『大東亜論』第一・二部として本になっているので読んでくださいね。


 さて、この頭山満翁、つねづね若い方に「孤独を怖がるな」「一人でも寂しくない人間になれ」と言っていたそうです。「人に依存するのではなく、自らの心の中に思想や哲学を落とし込み、自らが光を放つ人間になれ!」、そう後世の我々の背中を押してくれているのです。


 現代はSNSなどで、人と人との横のつながりが容易になりました。これも進歩の一つでしょう。しかし、その反動とでもいうのでしょうか。「みんなと」ばかりが重要になってしまって、孤独になる時間を見つけるのが大変な世の中です。


 小林よしのりさんは、子供の頃、病弱だったため、離れの部屋をあてがわれ、孤独な時間を過ごしたといいます。その中で、今につながる「思想の種」ができ上がったのではないかと思っています。


 孤独になる時間は必要なのです。ところがいまや、孤独になるのはトイレの中だけですかね(笑)。


 これからの世の中は、誰がみても明らかなように急激に変わっていきます。少子高齢化、原発を含めたエネルギー問題に、環境問題、収まらないテロ攻撃。こういう世の中だからこそ、自分自身の思想や哲学を、一人ひとりが練り上げていかなければならないのです。


 ダチョウは危険が迫ったとき、頭を砂に突っ込んで危険を見ないようにするという話を聞いたことがあります。どこかの誰かが作った思想に踊らされているだけでは、思想の奴隷状態か、このダチョウです。


 そんなのは嫌ですよね。少なくとも私はぜったいに嫌です。


 読書とは、孤独な時間を創ることです。孤独な時間は、思想を深く深く深化してくれます。あなたの心の根っ子を、力強いモノにしてくれます。


 この小林よしのりさんとの対談は、みなさんの思想の深化の第一歩になることでしょう。さて、読後のみなさんとお会いできることを、わくわくしながら楽しみにしております。

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