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二章 ごぜの坊と西の家六丸一座

『おしゃらく』
[著]藤本秀康 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:21分
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「おしゃらく」の変遷


「おしゃらく」は、東京湾沿岸の三浦半島や内陸の三多摩方面、さらに東北地方にも広く伝播しています。宮城県や岩手県では「おいとこそうだよ」となり、民謡「おいとこ節」に生まれ変わりました。さらに「南部手踊り」や「津軽手踊り」にも影響していったと思われます。


 津軽手踊りの名手・村上勇一氏は「津軽あいや節」を踊るとき、日傘を手に持ち、人形を背負って踊られていたので、同氏に取材したところ、「あいや節」は、古くから子守の格好で伝えられてきたということでした。


 一方、新潟県中魚沼郡下条村字新保(現・十日町市)の「(こう)(だい)()」門前にあったと伝えられる豆腐屋「桔梗屋」のお市との浮いた話を、「()(だい)()」または「高大寺」と称して、一章でも紹介したように、当時流行した「説経節」や俗曲の「銀のぴらぴら簪」を入れて、「本尊場」と「茶屋場」の二幕に脚色されて演じられていました。


 埼玉県では「とのさ節」、富山県では「()(だい)(じん)」といい、民謡になりました。千葉県松戸方面では「越後評判」という外題で、手踊りと台詞入りで伝えられていますが、三浦半島や三多摩方面では、江戸庶民最大の娯楽として栄えた歌舞伎を取り入れ、「おしゃらく」の演目である「日蓮記」を下座にして、「五段目くずし」あるいは「日蓮経」と称し、「仮名手本忠臣蔵」の「山崎街道二つ玉の場」が演じられました。また「三段目くずし」と称して「白桝粉屋」が用いられ、お軽と勘平が四つ竹で粉を挽く場面もあります。


 ほかにも埼玉方面では「奥州仙台白石仇討の場」「笠松峠」「鬼神のお松」など、「そうだい節」が下座として使用されています。


 歌舞伎を題材とした演目には、歌舞伎の下座音楽は用いられず、すべて「おしゃらく流」ともいえる曲目が下座音楽に用いられています。こうしたことから、母体には念仏踊りがあり、「飴屋」や「ごぜの坊」と称する遊芸人たちが、歌舞伎の要素も取り入れながら、近世江戸を中心に、広く関東や東北地方に伝播していったものと思われます。


ごぜの坊



 葛西と浦安地区には、古くから「ごぜの坊」と呼ばれる門付け芸人が訪れていました。筆者が七歳のころ、葛西新田の伯父の家の前に、親子連れの門付けが流してきました。母親は編み笠を被り、三味線を弾き、子供は派手な振袖に襷をかけ、四つ竹で拍子を取っていました。その女の子と私が同じ年格好だったので、「ジーッと」見つめていると、それに気づいた母親が子供の手を引いて逃げるように立ち去って行ってしまいました。今考えると、わが子を()(びん)に思ったのに相違なく、悪いことをしたような気持ちになったことを鮮明に覚えています。


 こうした「ごぜの坊」については、「おしゃらく保存会」の発足以前に、両地区を取材した際、明治生まれの方々からもいろいろな話をお聞きしました。「ごぜの坊」は、農閑期や鎮守祭礼などに、「何々連中」「何々演芸部」や「何々組」と称して、下総や常陸方面からやってきて、おもに駄菓子屋を営む「若衆宿」などに長逗留して、土地の人たちにもその芸を教えていったのでした。


 なかには、明治末期から大正、昭和の初期まで三代続けて、毎年やってきた組もあったそうです。左記は、浦安市当代島の前田治郎助氏が所蔵していた鑑札(証明書)二枚の内容です。いずれも昭和三十年二月一日に市町村合併により現在の住所ではありませんが、次のように記されています。

茨城県鹿島郡沼前村字小堤三六一番地

山本演芸部 山本金松

茨城県東茨城郡川根村字奥ノ谷四六番地

染之家演芸部


 現在の住所は、茨城県東茨城郡茨城町大字小堤と奥ノ谷です。


ごぜ宿



 当代島の西脇利蔵氏(明治十五年生まれ)宅、通称「ノッポッ玉」や治郎助氏宅は、もともと「ごぜ宿」として、他県から流れてくる遊芸人たちが、のべつ出入りしていたところです。

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