読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン

犬耳書店はRenta!へ統合いたします

(2021/11/26 追記)

犬耳書店の作品をRenta!に順次移行します。
詳しくはこちらでご確認いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

0
-1
kiji
0
1
1275297
0
ものの見方が変わる 座右の寓話
2
0
0
0
0
0
0
生き方・教養
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
はじめに

『ものの見方が変わる 座右の寓話』
[著]戸田智弘 [発行]ディスカヴァー・トゥエンティワン


読了目安時間:4分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ

寓話という言葉を『第六版 新明解国語辞典』(三省堂)で引くと「登場させた動物の対話・行動などに例を借り、深刻な内容を持つ処世訓を印象深く大衆に訴える目的の話」と書かれている。イソップ寓話や仏教寓話、荘子の寓話などが代表的なものである。

本書ではこういう寓話に加えて、聖書で語られるイエスのたとえ話、道話(人の行うべき道を説いた話)、逸話、笑い話、民話、昔話なども取り上げている。何らかの教訓を読みとることができれば、それは広い意味で寓話だと解釈した。


 

寓話の目的は教訓や真理を伝えることであり、お話そのものはそれらを届けてくれる“運搬手段”である。別の言い方をすると、寓話においては教訓や真理こそがその核であり、お話はそれらを包みこむ“外皮”である。

なぜそのような二重構造をとるのか。教訓は苦く、真理は激しいので、そのままでは食べられない。ならば、楽しいお話で教訓や真理を包んで読者に届けようというわけだ。教訓や真理は抽象的であるのに対して、お話は具体的で動きを持っている。寓話の読み手や聞き手は登場人物や動物と同化し、お話の中に巻き込まれていく。面白さに気をとられているうちに、いつの間にか人間や世界、人生についての認識が深まっていくのである。


 

心理学者のジェローム・ブルーナーは著書『可能世界の心理』(みすず書房)の中で、人間が持っている思考様式として、「論理・科学様式」(理屈で説明する方式)と「物語様式」(物語で説明する方式)の二つがあると述べている。両者はお互いに補い合っており、どちらか一方が他方よりも優れているわけではないと言う。

哲学者のプラトンは対話篇『ティマイオス』(『プラトン全集12』岩波書店)において、宇宙全体の生成過程を明らかにするというような超人間的な問題に関しては、厳密かつ合理的な言論を展開することは困難なので「ありそうな物語」を受け入れるにとどめることをよしとした。理屈による厳密な思索によって踏み越えられない問題について、人間が依拠できる唯一の手段が物語であると彼は考えたようだ。


 

私は本書を「学校の授業」や「会社の朝礼」で使える話材としてまとめた。したがって、長い寓話は二分程度で話せるような内容に要約してある。また、分かりにくい言葉は、耳で聞いて理解できる簡明な表現に直し、漢字や仮名づかい、文体、改行位置などを改めた。

多くの寓話ではお話の最後に短い教訓が添えられているが、本書では一部の例外を除いて教訓は敢えて省き、解説のところで示すようにした。お話と教訓を一体のものとして読み手や聞き手に差し出すと、どうしても押しつけがましくなると考えるからだ。お話と教訓の間に“間”を入れることで、読み手や聞き手が「このお話は何を伝えようとしているのだろうか?」と自由に思考を巡らすことができる。


 

本は二種類に分かれる。一つは自分に何かを教えてくれる本、もう一つは自分が何かについて考えるための材料を与えてくれる本だ。私は本書をつくり込んでいく過程で、古今東西の寓話の面白さを再発見した。同時に、その寓話を一つの材料としながら、さまざまなことを考えた。お話の後に添えられた文章を読んでいただければ、「著者の私が、その寓話を材料にどんなことを考え、どんなことを連想した」かが分かるだろう。

もちろん、私の視点や解釈が正解というわけではない。それは、一つの視点、一つの解釈にすぎない。

本書が、寓話の面白さを知るとともに、自分の仕事や人生、地域・国・世界の進むべき道について考える一つの手がかりになれば、幸いに思う。


 

著者記す


 

本書に収録した寓話は、巻末に掲載した資料を出典元としていますが、読みやすくするため、一部表記・表現の改変などを行っています。また、原典には現代では差別用語、あるいは差別的とされる表現も含まれていますが、これらはそのままの引用といたしました。

この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:0文字/本文:1594文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次