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エリック・ホッファー 自分を愛する100の言葉 「働く哲学者」の人生論
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生き方・教養
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part.9 世間について

『エリック・ホッファー 自分を愛する100の言葉 「働く哲学者」の人生論』
[著]小川仁志 [発行]PHP研究所


読了目安時間:14分
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一般に歴史のゲームは、中間にいる大多数の人びとの頭上を越えて、最高と最低の人びとによって行われる。

『The True Believer』



 社会は誰がつくるのか? みんな? そうではないのです。民主主義のイメージからすると、みんなが主役のようにも思います。あるいは逆に、政治家やお金持ちなどのエリートが(ぎゆう)()るか。


 ホッファーが面白いのは、最高と最低の人々が社会をつくり、歴史をつくると言っている点です。では、最低の人々とは? それは失敗者や不適応者などだと言います。もちろん不適応者を自認するホッファーですから、自分もそこに含まれているのでしょう。


 ただ、自虐的にそう言っているのではなく、彼は本気でそう思っている。社会から排除された人や失敗した人たちは、だからこそ現状を打開しようとしています。いや、今ある社会を破壊しようとさえしているのです。安定した中産階級は、革命など望みません。


 革命はヒエラルキーをひっくり返します。最低の人が最高になれる。ホッファーはこうも言っています。「建築者に取り除かれた石が、新しい世界の礎石になるのである」と。


 これほど最低の人たちを勇気づける言葉があるでしょうか? こんな言葉を聞けば、誰もが社会は自分たちのためにあるように思うのではないでしょうか。多くの人は自分は最低だと思っているでしょうから。


人間の独自性は安定し連続した環境においてのみ開花し持続しうる、と私は信じ始めた。現代社会における、生活のあらゆる部門の絶え間ない根底的変化は、人間の本性に敵対するものである。これはたぶん必然だったと思うのだが、十九世紀後半に変化の勢いが強くなり始めたときに、非人間化の過程も始まった。

『Working and Thinking on the Waterfront』



 社会には安定が必要だというのが、ホッファーの基本的な考えです。その安定の中ではじめて独自性が開花する。人間の良さが発揮できるということです。感性を生かした文化が生まれるのも、そうした状況のなせる(わざ)なのでしょう。日本でいえば平安期や江戸期の平和が持続した時代に国風文化や元禄文化が生まれたように。


 それが十九世紀後半に社会が近代化し始めると、非人間化の過程も始まってしまったと言うのです。機械の時代です。とても人間が生み出したとは思えないマシーンのようなものが次々と自己増殖していく。そんなイメージでしょうか。実際、現代のマシーンはマシーン自体が生み出していますから。

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