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新編 言志四録
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勤労篇

『新編 言志四録』
[著]井原隆一 [発行]PHP研究所


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五九 立志の功と恥
[立志の功は、恥を知るを以て要と為す。]

     *

 志を立てて実績をあげるには恥を知ることである。

 ● 恥を受けて発憤し成功した例も少なくない。成らざるを己に恥じる恥もある。自他の恥を忍び耐えて功を成すには恥を恥と思い功に励むことにある。陸亀蒙(りくきもう)の詩に「蝮蛇(ふくだ)一度指を()さば壮士()く腕を解く、思うところは功名にあり=毒蛇に指を咬まれれば壮士はいち早く腕を断ち切るという。自分の思いは功を立てるだけで腕の一本ぐらいは意に介しない」。このくらいの気力がなければ目立つ功名を立てることはできない。

六〇 剣の志気
[常に志気をして剣の如くにし、一切の外誘を駆除し、(あえ)肚裏(とり)に襲い近づかざらしめば、自ら浄潔快豁(じようけつかいかつ)なるを覚えん。]

     *

 平常から心を剣の如く鋭くし、誘惑を退ければ自ずときれいさっぱりした気持ちになることに気付く。

 ● 目的達成に執念を燃やせば一切の誘惑を退けることができる。一つの目的を達成するため全知全能を傾注する気力が根性である。

六一 心の奥底に針を打て
[吾(まさ)に事を処せんとす。必ず先ず心下に於て自ら数(しん)を下し、然る後事に従う。]

     *

 私はことに当ろうとする際は、まず痛むところに針を()して鎮静させるように心の奥底に数本の針を打って肚を据えてよく考えてから仕事にとりかかる。

 ● 心に悩み、邪心を抱いて事に当ることは自ら墓穴を掘るに等しい。一切を払拭して丹田に心を据え熟慮断行すべきである。

  前漢文帝のころ、李広は匈奴(きようど)討伐に出た。百騎の精鋭を率いて奇襲を試み前面の敵は倒したが大軍に包囲された。浮き足立った味方を鎮め、敵陣近くで下馬を命じ鞍を解かせた。この大胆不敵さに敵も、なにか策ありと感じたか攻撃をためらっている。この機を逸せず、十余騎を率いて疾風の如く敵陣に迫って指揮官を射殺した。たじろぐ敵を尻目に全員囲いを破って帰陣してしまった。李広の冷静沈着の功である。「桃李言わざれども下自ら(こみち)をなす」はここからでている。

六二 慮事、処事
[事を(おもんぱか)るは周詳(しゆうしよう)ならんことを欲し、事を処するは易簡ならんことを欲す。]

     *

 ことを考える時は周到で綿密がよく、一度決めたことは簡単な方法で処理すべきだ。

 ● 自分を知り、相手を知り、時を選び、場所の適否を知る。これが勝利の条件。会して議せず、議して行わず、行って責をとらず。自己を先に考え公事を後にするからである。

六三 閑事、実事を退く
[今人(おおむ)ね口に多忙を説く。その為す所を視るに、実事に十中一、二、閑事に十中八、九。また閑事を認めて以て実事となす。むべなりその多忙。志有る者誤って此()を踏むこと勿れ。]

     *

 今時の人の中には口を開けば忙しい忙しいといっている人がある。しかし、やっている事の十中八、九は必要でないことである。これでは忙しいのが当然だ。志ある者はこういう連中に仲間入りするべきではない。

 ● 権限を委譲していながら、つまらぬことに口を出し、手足の上げ下げにも文句をつけている者に限って大事を怠っている。そこで忙しいとボヤく。自分のヤボな考えをボヤくべきではないか。

六四 己の本分を避けるな
[凡そ事吾が分の()むを得ざる者に於ては、当に之を為して避けざるべし。]

     *

 自分の本分として成すべきことを避けてはならない。

 ● 困難といって避けて喜びはない。困難を克服しただけでは当り前の喜びに過ぎない。進んで困難に挑戦し、これを克服したとき初めて最高の喜びが得られる。

六五 治力の保持
[人君(まさ)に士人をして常に射騎刀(しやきとうさく)の技に遊ばしむべし、(けだ)し其の進退、駆逐、坐作、撃刺(げきし)、人の心身をして大いに発揚する所、有らしむ。是れ但だ治に乱を忘れざるのみならず、而も又政理に於て補いあり。]

     *

 君主は、武士に諸々の武術に親しませておくべし。それは武士の心や身体を大いに元気づけるものである。太平の世でも乱を忘れないばかりか政治にも補足的役割を果たすものである。

 ● 企業環境が厳しくなると、社員教育を徹底して鍛えなおそうといい始める。火事起きて井戸を掘るに等しい。好調のときこそ一層努むべきなのである。組織の心の(ゆる)みを締め直し、活性化を保つためにも必要なのである。

六六 眼を高く
[著眼高ければ、則ち理を見て()せず。]

     *

 大所高所に目をつければ道理が見え、迷うことはない。

 ● 「風斜めに雨急なるところは、足を地に着け得て定めんことを要す。花(こま)やかに柳艶(やなぎえん)なるところは、眼を着けえて高からんことを要す。路危く径険しきところは、(こうべ)を回らしめて早からんことを要す」と菜根譚にある。いずれも、迷い、危険を避ける道である。

六七 当今の毀誉懼れるに足らず
[当今の毀誉(きよ)(おそ)るるに足らず、後世の毀誉は懼るべし。一身の得喪(とくそう)は慮るに足らず。子孫の得喪は慮るべし。]

     *

 現世でけなされ、褒められることは恐れるに足りない。後世のそれは恐ろしい。現在の自分の得失は心配に当らないが子孫に及ぼす影響は考えておく必要がある。

 ● 現世だけにもいい得る。企業の再建発展のためには抜本的施策のため上下から孤立を余儀なくされることが多い。しかし、これを恐れては成ることも成らない。一時の孤独を恐れて永遠の孤独を招いてはならない。

六八 死せるもの生くる者の用をなす
[已に死するのものは、(まさ)に生くるの用を為し、すでに過ぐるのことは、将に来らんとするの(かん)を為す。]

     *

 すでに死んだものが今生きている者の役に立ち、とうに過ぎ去ったことが将来の範となる。

 ● 「まず隣より始めよ」で知られる(えん)郭隗(かくかい)。王から天下の賢士を求める方法を尋ねられたとき「昔の君、千里の馬を求めようとして(けん)人に命じた。涓人は死馬の骨を五百金で買ってきた。君の怒りに対し『死馬の骨でさえ五百金も払うなら生馬ならさらに高く買うに違いないといって売り込みにくるに違いない』と答えた。果たして一年に千里の馬三頭を得たという。もし君が天下の士を求めるなら、まずこの私を重く用いなさい」。これがまず隗より、の故事である。これによって楽毅(がつき)を得て宿敵斉を伐っている。死馬をいまに生かせたことになる。

六九 月もいたずらに見るなかれ
[人の月を看るは皆徒らに看るなり。須らく此に於て宇宙窮りなきの概を想うべし。]

     *

 月はただぼんやり見るべきではない。そこに宇宙無限の真理を考えるべきだ。

 ● 李白は“白兎薬を搗いて秋また春、今人古時の月を見ず、今月かつて古人を照せり、古人今人流水の如く”(月の世界では白兎が一年中薬を搗きつづけている。今の人は昔の月を見ていないが今の月はかつて昔の人をも照している。それに較べると人間の寿命は流れ去る水のようなものだ)と詠んでいるが、はかない寿命の人間がすでに月に着陸している。人間社会には不可能ということが次第に減りつつあることに気付く。企業経営にしても困難を嘆くことなく可能を信ずれば不可能はなくなるのである。
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